はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ひねる理由

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昨年の夏、オーストリアのドルンビルン川に架かるSchanerloch橋というかっこいいコンクリート橋を見に行った。桁下面がねじられた造形になっていたのだが、現地を観察してもその理由がよくわからなかった。もしかしたらエンジニアリング面での理由はなく、オランダのVlaardingse Vaart橋のように、ひねりたいからひねったんじゃないかと思う節もあった。

その件を友人が設計者に尋ねたところ、橋台部の斜面における微妙な地盤強度が関係しているとのことだった。つまり、良好な地盤側の断面を大きくしていると言うわけだ。それを聞いてちょっとホッとした。なにしろオーストリア人には、構造的合理性を尊重する人々だと勝手に思っているので。ちなみに、オランダ人にはコンセプトに対する合理性を尊重する人々だと勝手に思っているので、ひねりたいからひねった先ほどの橋は個人的に受け入れられる。

オーストリアのコンクリート橋は3兄弟。昨年の夏は、末弟がもうすぐ桁の打設に入ろうとしている段階だった。仮設桁の上に支保工が組まれ、橋軸直角方向にスチールの形鋼が載せられ、さらにその上に橋軸方向に細長い木板が載せられていた。この上に薄い合板を載せて双曲面のような造形の型枠を構成するようだ。こうした施工段階が見られたことは、たいへんラッキーだったな。