はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

かげのカーブ

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昨年の札幌訪問時に少し時間が空いたので、サイクルシェアリング「ポロクル」を利用して、かつて自分が設計に関わった「北郷通こ線橋」を数年ぶりに見に行った。

桁下に自転車を止めて周囲を歩くと、すぐに側道上空をスパイラル状に跨ぐスロープが落とす影に気がついた。カーブを描く桁の陰と影が、高低差も相まって不思議な空間を生み出し、高欄の隙間からこぼれた光がそれを補強しているではないか。おお、これはすてきだ、我ながら。

しかし正直なところ、この橋をデザインをしていたときには全く予想していなかったのだ。設計者の意図と鑑賞者の視点が相互に絡み合ってようやく目の前の眺めに意味が出てくるなんてことを、極めて自己完結的かつ自己満足的な状況で実感した。