はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

廃墟の格

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沖縄に来たからにはグスク(城)の石垣を見なければと思い、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」にも指定されている中城城跡(なかぐすくじょうあと)に行ってきた。沖縄本島の東西の海を両方望むことができる稜線に沿って構築されていた城郭群は、思っていた以上に素晴らしかった。と言いつつも、真の目的は中城城跡に隣接する廃墟を眺めることだ。

実際に見事な廃墟を目の当たりにして大興奮。地形の高低差に沿って造形されたコンクリートの人工構築物が、南国特有の濃密な緑に飲み込まれていくような、なんとも幻想的な佇まいだ。スケールもロケーションも素晴らしい。この「中城高原ホテル」は1975(昭和50)年の沖縄海洋博覧会の開催に合わせて建設が進められていたが、関連企業の倒産により完成直前で放棄されたものだそうな。その背景には、文化財保護への気運の高まりがあったらしい。ということは、そもそも当時は文化財保護の観点が希薄だったと言うことなんだろうね。

中城城跡は誰もが認める価値ある廃墟だ。沖縄返還の痕跡と言えるかもしれない40年以上前の廃墟ホテルは、それと同格になる日が来るのだろうか。個人的にはすぐにでも世界遺産の構成要素に含めてしまいたいのだが。もちろん廃墟ホテルは立入禁止なので、少し離れた場所から眺めるだけにしようね。