先日乗船した東京港のクルーズでは、中央防波堤に新しくつくられたコンテナバースの近くを通過した。ああここが40年以上続く領土紛争問題に対して最近都が出した調停案の中でわずかに大田区の取り分とされた場所か、などと無責任に感慨にふけっていたが、ガントリークレーンが見たことがない形だったので、おやや?と首をかしげた。すかさず同行していた友人が、「あれは『シャトルブーム式コンテナクレーン』というもので、羽田空港の空域制限をクリアするために採用された」と教えてくれた。なるほど、中央防波堤は東京ゲートブリッジと同様に空からの制約が形の決定原理になるのだなあと、さらに感慨にふけった。
どうやらこの形式が採用されるのは日本初らしい。その無理のある姿は、すでにガントリークレーンの愛称として定着している「キリン」のイメージから離れて、スターウォーズに登場する帝国軍の兵器「AT-AT(All Terrain Armored Transport:全地形装甲トランスポート)」に近い印象を受ける。白いフレームと青いトラス材で組まれたブームは、どうやら前後に大きく動くらしいね。アップリフトの対策とか、なかなかたいへんそうだ。それはともかく、言葉の響きもかっこいいよねえ。
参考:東京新聞「江東86% 大田14% 埋め立て地帰属 都が調停案」
三井造船「東京港埠頭株式会社からコンテナクレーン6基を連続受注」