赤瀬川原平のトマソン黙示録シリーズに「雨上がりの体重計」という作品がある。コンクリートが硬化する前の床面にうっかり転写された足跡に、ぼんやり水が溜まっている様子を示した写真だ。僕も類例を探そうと時々気にしているのだが、ビシッと決まるものはなかなか見つからない。それどころかつい最近、いやそれはあんまりだよ、という事例に出くわした。
うっかりにもほどがあるほど、ズボッとやっちゃった足跡。いやそれなんですぐに埋めなかったのか?というか、盛大なクラックが発生しているじゃないか。水分を含んで、より一層際立っているぞ。これはこれで素敵だな。おや?その周囲を見渡すと、何度もコンクリートを打ち増しているようだな。クラックも前の舗装通りに発生している。応力って素直なんだな。というか何度も打設しているのに、全くスキルアップしていないじゃん。セルフビルドとはいえ、丁寧にやろうよ。大きなお世話だけど。
なかなか見ごたえのある逸品だけど、写真作品になるようなシャープさがないのが残念だね。いや、これを作品化するためには、鑑賞者のスキルが必要ってことなのかな。