はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

信仰心の芽生え

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立山カルデラへの潜入体験って、本当に貴重である。スケジュールを確保して現地に乗り込んでも、雨が降るとそれだけで立ち入り禁止になるわけで。幸運なことに僕は過去に二度ほどカルデラ潜入に成功したのだが、つい先日は雨でNGになってしまった。

どん底の失意の中、芦峅寺にある立山信仰の拠点「越中國一之宮雄山神社中宮祈願殿」を訪れたのだが、この境内がとても荘厳で張り詰めた空気だった。もちろんすっかり気圧されてしまい、素直に拝殿にて参拝するに至った。

その直後に何気なく横の方を見たら、樹齢500年とも言われる杉の木立の隙間からチラリとコンクリートが見えた気がした。目をこすりながら獣道のようなルートを通って足早に近づいてみると、霧の中に真新しい砂防施設が佇んでいるではないか。中央に鋼製スリットを有する直線的なフォルムの堤体と、そこから斜めに配置された段差のある流路工がとてもシャープでかっこいい。きっと阿弥陀如来か不動明王かのどちらかが、立山砂防の代わりとして僕に見せてくださったんだと思うな。ありがたや、ありがたや。

その後に立ち寄った立山博物館展示館で学芸員さんに立山信仰のいろいろを解説していただいたのだが、本当に素晴らしい体験となった。立山カルデラに入れなかった無念さを一瞬忘れるほどに素敵だったよ。いつの日か、立山に登ってみようかな。