はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

私的ドボク大賞2018

f:id:hachim:20181231125314j:plain

今年もどうにか大晦日を迎えることができた。そこで第10回目となる歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を実施しよう。これは、僕がその年に体験したドボク的ネタを僕が振り返り、僕が最も感激したものを僕が選定して僕が表彰するという、自作自演で誰も共感できないアワードである。

今回もtwitteを用いてノミネート作品を選定し、そこから最終選考の対象となる作品を絞り込む方式を採用する。ノミネートは以下の通りの14作品となった。

1:トコトコダンダン(大阪)、2:土木展 in 上海(上海)、3:凌空SOHO(上海)、4:1933老場坊(上海)、5:すごいぞ!ボクの土木展(佐賀)、6:成富兵庫茂安の足跡(佐賀)、7:有明海と共生するシステム(佐賀)、8:出島表門橋(長崎)、9:中島川両岸のバイパス水路(長崎)、10:新長崎県庁舎と防災緑地(長崎)、11:長崎の坂(長崎)、12:奥多摩の橋梁群(東京)、13:モエレ沼公園(札幌)、14:北海道百年記念塔(札幌)

当初は「成富兵庫茂安の足跡」と「石井樋」を別々にしていたが、分ける意味がないので統合することにした。「石井樋」は昨年もノミネートされているために、ついつい勢いづいてしまったのだろう。ここら辺のフットワークの良さが本アワードのいいところだ。とは言え、ここからどうしよう。とても悩ましい。今年は消去法で最終選考作品を選んでみようか。

1:トコトコダンダン、8:出島表門橋、13:モエレ沼公園については、それぞれが権威ある賞をたくさん受賞しており、いまさら僕が表彰するなんておこがましく思えるので、最終選考リストからははずそうか。2:土木展 in 上海、5:すごいぞ!ボクの土木展については、個人的な価値がものすごくあったイベントなんだけど、まだまだ高みに行けるという期待を込めて、やはり選外としよう。10:新長崎県庁舎と防災緑地、12:奥多摩の橋梁群は、こちらの都合で恐縮だけど、もっとじっくり堪能して魅力を掘り下げてから判断したいので、今回は保留とする。

ということで、最終選考作品は以下の通り。やばい、あまり減っていないじゃないか。

3:凌空SOHO(上海)、4:1933老場坊(上海)、6:成富兵庫茂安の足跡(佐賀)、7:有明海と共生するシステム(佐賀)、9:中島川両岸のバイパス水路(長崎)、11:長崎の坂(長崎)、14:北海道百年記念塔(札幌)

さあどうするか。やはりとても悩ましい。それぞれが僕の中にしっかりとした位置付けをつくり出した印象深い作品だもんな。ここは一気に決めるしかないな。

 ・、

 ・・、

 ・・・、

よしっ!!私的ドボク大賞2018は『成富兵庫茂安の足跡』で決定だっ!!

戦国武将から民政家になった成富兵庫茂安が手がけた具体的な施設の中で、僕が見て回ったものは「石井樋」「桃の川水路(馬の頭)」「三千石井樋」の3つだが、具体的な対象物として確認しにくい水利システムを構築しているし、その点が重要だったりする。ここらへんはノミネート作品「7:有明海と共生するシステム」とも重複している。つまり、有明海と向き合う特殊地形における地域のインフラシステムが、現在も脈々と息づいているのだ。この時空を越えた価値は、凄まじいものを感じる。しかも、佐賀以外の人にはほとんど知られていない「地域限定」って事実も泣けてくる。

僕は「すごいぞ!ボクの土木展」に関わるようになった昨年夏から、少しずつ佐賀の土木を勉強して、成富兵庫茂安のすごさをじっくり噛みしめてきた。そんな蓄積があり、今年は堂々の大賞受賞に至ったというわけだ。

なお、上の写真は「三千石井樋」という江戸時代の寛政年間につくられた城原川の取水堰。大賞とは思えないほど地味だね。そこがまたいいんだけど。また、成富兵庫茂安の功績の一端をもう少し踏み込んで知りたい方は、以下の記事を読むといいだろう。今回の作品タイトルも、この記事タイトルから拝借している。

ミツカン水の文化センター|機関誌『水の文化』32号 治水家の統|成富兵庫茂安の足跡|島谷幸宏

 

ということで、このブログをご覧くださった多くのみなさま、まことにありがとうございました。以前に比べると細々とした更新になっていくかもしれませんが、なんとか継続していきたいと思っています。どうぞ良いお年をお迎えください。