はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

交錯する巡礼路

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今回のスペイン旅行の重要な目的は、スペインの構造家であるエドゥアルド・トロハが手がけた「アリオスの水路橋」を訪問すること。80年前の1939年につくられたこの橋は、自分が死ぬまでに体験しておきたい個人的世界三大名橋の暫定リストに登録されている。ちなみに他のふたつはロベール・マイヤールによるサルギナトーベル橋と、リッカルド・モランディによるルシア橋(モランディ橋)であり、どちらもすでに参拝している。今回がいよいよ最後の巡礼というわけだ。

現地に行ってみると、この水路橋は世界遺産にも登録されている「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」を跨いでいることがわかった。これは、フランスをはじめとするヨーロッパ各地からピレネー山脈を越えてスペイン北西部にあるキリスト教の聖地に行くための、年間およそ10万人が歩くというルート。実際に橋を見ている最中にも大きな荷物を背負って歩く巡礼者を何人も見かけ、挨拶を交わした方もいた。

本物の巡礼者と一緒にしちゃいかんとは思いつつも、個人的な橋梁巡礼が文字通り交錯している光景には、うっかり胸が熱くなった。誰も共感してくれないだろうけどね。上の写真は、巡礼路の石橋とアリオスの水路橋をセットで眺めた様子。どなたか僕に橋梁巡礼証明書を発行してくれないだろうか。いや、そこは自分でやるしかないか。

今回の旅はいろいろギリギリなことが多く、アリオスの水路橋の巡礼ができて本当によかったと思っている。特に焦ったのは、パスポートの有効期限。今年の4月8日が有効期限だったのだが、別件の関係で出発の数日前に調べてみたら、シェンゲン領域国からの出国予定日から3か月以上残っていなければならないことが判明したのだ。僕が持っているチケットは1月8日出発、つまり期限当日だったわけだ。この時は本当に行けるのかと青ざめた。羽田空港のカウンターでは担当の方が何度も見直していたので、なお不安に。その後に大丈夫ですと太鼓判を押してくれたので、心底ホッとした。いやほんと、気をつけなければね。その前に、自宅にちゃんと帰ってただいまと言うまでが巡礼だろうから、残り1日も気を引き締めて行動し、確実に帰国の途につきたい。