ワンテンポ遅い夏休みを取って、復興事業が急ピッチで進められている東日本大震災の被災地を巡っている。ちょっと思うところがあって、自分の車で千葉から北上しているのだ。東北のスケールやリアス海岸の急峻な地形を舐めていたわけではないのだが、思ったように進んでいない。まあそれも獲得すべきリアル体験なので、想定通りと言えるわけだが。
リアス海岸の地域では特に津波が高かったこともあってか、比較的小さな河川でも凄まじい高さの堤防が築かれている様子をしばしば目にした。石巻雄勝町の河川では、以前は写真手前の黒ずんだコンクリート護岸が基準高さだったと思われるが、倍を越えるほどになっているようだ。
考えればあたりまえのことなのだが、防災のために堤防の高さを上げると、必然的にそこに架かる橋は高い位置にせざるを得ない。そうすると、必然的に橋は長くなるし、必然的に橋に取り付く道路も長くせざるを得ない。つまり、必然的に経済や環境にかかる負荷が拡大しっぱなしになる。
今回の旅では、いろんな土木構造物のスケールが自分の中の標準サイズをはるかに超えて、途方もなく拡大し続けていることを目の当たりにしている。これが近代科学文明のエントロピー増大というやつなのか。