はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

世界の見方の拡張

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文化は人と人との接触から生まれる。ところが現在、その関係を断つことを迫られ、他者に対して疑心暗鬼となり、得も言われぬ重苦しい空気があたりを覆っている。生命や経済の危機に際しては、文化という価値などはじめからなかったような雰囲気すらある。しかし、こんなときだからこそ、文化がもたらす重大な価値を僕らが守り伝え育むことは、後世の人々に対する責任だよな。

なんて大層なことを頭の片隅に置きながら、自分ができることはなんだろうと常に考えながら行動したい。それも、僕がこれまで取り組んできたことの延長線上で、できるだけ「面白い」方向で。たとえそれが些細なことであっても。

その機会は、まったくの偶然を装って、すでに訪れていた。昨年の末、6年近く前に出版した『ヨーロッパのドボクを見に行こう』の編集者から、面白そうな企画の連絡があったので積極的に本の宣伝をしてきなさいと命じられたのだ。そして、送っていただいた企画書を見ると、明確な内容はわからないが、とてつもなくワクワクするものだったので、ふたつ返事で承諾した。それがYoutubeのゲーム実況コンテンツ『○○のプロといくゲームさんぽ』である。

そのコンセプトは「いろんな人とゲームを「さんぽ」して、世界の見え方の違いっぷりを学ぶ修行」だ。もともと「なまぐさ坊主・なむ」さんが発案し実践していたフォーマットを、LINE株式会社のライブドアニュースがシリーズ化したものとのこと。対象のゲームの本筋とは少しずれた専門家をゲストとして呼び、その世界について語り合うというもの。その詳細はこのページの下に貼ったリンクを参照していただきたい。まあ実際にチラリとでも見れば、わかる人は一瞬でそのすごさが理解できると思う。たとえば、これとか。


【ゲームさんぽ/ゼルダの伝説】気象予報士・石原良純さんと『ブレス オブ ザ ワイルド』をやってみたら、天気の仕組みがよーーくわかった!

ゲーム×さんぽ×専門性というベクトルが異なる要素を掛け合わせることで、これまでの学習教材をあっさり凌駕する学習効率を生み出しているように感じる。おおよそ関係性が希薄だった、あるいは、相互に無視してきたかもしれない環境を、軽々と越境したこと自体にもたいへん大きな価値があるよね。しかも、リモートかつスピード感をもって展開することには、歴史に刻まれるパラダイムシフトが進行している世界において、極めて重要な意味があるはず。

僕はこれまで2つのコンテンツに参加した。「The Crew 2」というドライビングゲームでは橋やダムなどの土木構造物に着目し、不朽の名作をつくり直した「ファイナルファンタジー7リメイク」の5分間のトレーラーに現れた都市構造についてZoomで3時間も語り合った。僕がいったい何のプロなのかは謎のままだが、今後もいくつかのコンテンツに参加させていただけそうだ。

収録や公開を通して多くの刺激を激しく受けたことで、すでに自分のリアル業務にそのエッセンスを取り入れはじめている。さらにその勢いが余って、うっかりプレイステーションを買っちゃった。誤算だったのは、ファイナルファンタジーをぐりぐりプレイしていると酔ってしまうというとと、リモートワークの時間配分が上手くできずにいるのでプレイ時間が確保できないということかな。まあぼちぼちやるよ。


【ゲームさんぽ/The Crew2 】土木構造物に見るUbisoft様の“再現欲”(アメリカ東海岸編)


【ゲームさんぽ/The Crew2 】巨大で美しい!アメリカが世界に誇る名作ドボクたち(西海岸編)


【ゲームさんぽ/FF7リメイク】極悪都市! トレーラー映像(5分)に滲み出るミッドガルのヤバみ [都市鑑賞 前編]

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