はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

大型連休の過ごし方

f:id:hachim:20200429100045j:plain

「STAY HOME週間」はなぜ「STAY HOME WEEK」や「自宅待機週間」ではないのだろうという疑問はさておき、この大型連休を家で過ごすためになにをするかを考えることは、たいへん重要なテーマだ。まあ僕の場合はこの週間に、慣れないリモート講義に使う動画の制作を、泣きながら一気に進めなければならないことは、一時的に忘れるとして。

すでにいろんな施設や組織がネット上に興味深い動画を限定公開しているので、それらを探して徹底的に観まくるのもいいよねえ。シリーズものの映画やドラマを観まくるとかもいいよねえ。プレイステーションのゲーム「ファイナルファンタジー7リメイク(FF7R)」をやりまくって、「STAYミッドガル週間」にするのもいいよねえ。少し前に僕も本体とともにFF7Rを買ってみたよ。ぜんぜん進んでないけど。ちなみに上に貼った写真は、広島県大竹市に実際にあるそれっぽい工場。ミッドガルみがより深くなるように、あれこれがんばって調整してみた。自分としてはそこそこいい仕上がりになったのではないかと思っている。

そして、それらのサブコンテンツとして僕が強力にオススメするのが、先日も書いたYoutubeのゲーム実況コンテンツ『○○のプロといくゲームさんぽ』だ。おやつやおつまみを携えてだらだら眺めていると、脳みその別の部分が活動しはじめるよ。ゲームなんて百害あって一利なしという固定概念こそ百害あって一利なしという事実や、将来なりたい職業ランキングでYouTuberがトップになるほど魅力的なプラットフォームがすでにある事実や、各方面で地上波の情報番組における専門性のあり方が疑問符を伴って議論されている現実が、ああこういうことなのかという実感を伴って、いまさらながら腑に落ちる。

現時点で50本くらいがアップされていて、ゲームのジャンルもトークのスタイルも、バリエーションがとても豊富。ゲームはあくまでも舞台あるいは素材でしかないので、ゲームなんてやったことがないという人も、なんだこのテーマそんな興味ないよという人も、メタ的な知的好奇心があれば、それぞれが面白がれるコンテンツに出会えると思うよ。以下に、僕の個人的なオススメをピックアップしてみるね。

【ゲームさんぽ音楽室】作曲家・新垣隆による『オクトパストラベラー』解説!(無茶ぶり即興演奏付き)
【ゲームさんぽ/Detroit: Become Human】精神科医・名越康文さんが登場キャラを分析! 驚くほど繊細なアンドロイドの心理が明らかにされていく...!
【ゲームさんぽ/キングダムカムデリバランス】チェコのお城と日本のお城はどう違う?
【ゲームさんぽ/SEKIRO仏像編①】仙峯寺の元ネタを博物館研究員が続々特定...! スーパーハードコア仏教美術講座、開幕
【ゲームさんぽ/ゼルダの伝説】気象予報士・石原良純さんと『ブレス オブ ザ ワイルド』をやってみたら、天気の仕組みがよーーくわかった!

それと、本家・なむさんの歩荷(ぼっか)回も傑作。もしかして僕は一番好きかもしれない。
【ゲームさんぽ】歩荷の人と背負うデス・ストランディング 1話 荷造り〜出発編【DEATH STRANDING】

きりがなくなってきたので、この辺でやめておこう。どのコンテンツも、ゲストの専門家がリラックスしながら、自身の知識が引きずり出されることを楽しんでいる、つまり、はじめから「教える気がない」ということが大きなポイント。僕は以前から「学習から入ると学習が遠のいてしまう」と、職務放棄に近い主張をしているが、その説が具現化されているような教育プログラムだと感じて、爽快な気分になるね。

ほんと、大型連休の過ごし方の中に「ゲームさんぽ」をサブコンテンツとして挿入することを、強くオススメするよ。

  

以下、僕も参加したFF7Rトレーラーさんぽに関するまったく個人的な裏話メモ。忘れちゃいかんので。

新型コロナウイルスの感染拡大に若干の気の緩みが生まれた3月後半、ライブドアニュース編集部から再登板の依頼をいただいた。こちらはリモート授業のヒントが得られることもあって前のめりになり、都内での収録を行うスケジュールの設定や他の専門家の推薦もトントン拍子に進んでいった。しかし、コロナに関する状況はどんどん深刻化し、緊急事態宣言が視野に入ってきた。このため、平行して「リモートさんぽ」の可能性を探っていただいた。

そのやりとりの最中に生まれたのが、「通常版ではなく予告編として、FF7Rのトレーラーを肴に、流行りのZoom飲み会でダラダラしゃべり、FF7R発売日(4月10日)の前にアップする」というプラン。もう4月に入っちゃったし、提案のタイミングが遅かったかなあと反省したのだが、編集部はそれ面白いかも!と一気に話を進めてくださった。通信テストを兼ねた打合せを4月4日に行い、いきなりゲスト(大山さんと三土さん)を呼ぶことにし、その後に都内での収録不可が確定し、4月7日に4地点遠隔収録し、それを編集し、発売日前日の4月9日の夜にアップするというむちゃくちゃなスピード感。しかも、5分間のトレーラーなのに3時間しゃべりっぱなしという、編集泣かせのボリューム感。もちろん新年度が開始された4月初頭はどこもかしこもバタバタしていたわけで、そんな状況なのに実際にやっちゃったのはすごいよね。

僕は明確な領域や対象や業界がない「デザイン」を「教える」というおこがましい立場にいるのだが、正直に言うと、放送業界とか広告業界とかIT業界とかゲーム業界とかファッション業界とか、キラキラして見える界隈の雰囲気には少々抵抗感がある。その背景には、自分がデザインしたものが10年以上経ってからようやく完成するというペースだったり、ものすごく多い利害関係者の合意形成を図りながら進めるプロセスだったり、人の生命が直接関わるものを対象にしていたりという、自分が育ってきた環境が大きいと思う。もちろん一部ではあるけど、その抵抗感は少し変化した。

状況に合わせてどんどん更新されるスピード感やドライブ感を面白がる。まだ若く、理解力、吸収力、行動力が尋常ではない方々と一緒に仕事をすることって、こんなにワクワクするものなのかと、あらためて体験させてもらった。本当に良質の刺激を、次々といただいている。そして、僕もすでに具現化する方法を楽しみながら探っている。今回の取り組みでも(それに続く動きでも)、コンテンツ開発、システム構築、課題抽出、バグ取りなどがしっかり前進しているように感じたので、「ゲームさんぽ」はまだまだ進化し続けるんだろうね。本当に楽しみだ。