はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

山頂の地下空間

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今治公会堂の緞帳に描かれている総延長が4kmを越える3連吊橋の来島海峡大橋は、亀老山展望台から眺めたものだ。この眺望も素晴らしいが、展望台自体もすごかった。隈研吾による設計で、1994年につくられたという。来島海峡大橋の完成が1999年だから、ここからも工事の様子が観察できたんだね。

一般的な展望台は地形や樹木などの影響を避けるために、できるだけ地面よりも高くなるように設定されている。そのために外部から眺めると、目立つ構築物になりやすい。ところがこの展望台は、外側からの存在感が極めて低い。なんと、平らにカットされて公園として利用されていたいた山頂を、元の姿を目指して覆土しつつ、そこに展望台への動線を埋め込んだという。この動線がまた秀逸。地下と空中を行き来しながら、さまざまな方向への眺望が得られるという、たいへん面白いシークエンス体験が得られる。

豊かな眺望体験を楽しんだ後は、駐車場付近にある昭和感満載の土産物店で勧められるままに「藻塩アイス」を食べた。これが汗をかいたあとにぴったり。今治タオルの仕入れが充実しているこの店のご主人にも、いろんな話を伺うことができた。