はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

社会の積層

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東京は「レイヤード・シティ」と表現してもいいんじゃないかとずいぶん前から思い込んでいるわけだが、KITTEの屋上庭園にふらりと立ち寄った際にその思いを強く抱いた。ちょうど、東京の運河クルーズでの体験と同じような印象と言えばいいだろうか。スケール感は違うけど。

都市渓谷に広がる湖面のような空間に、東京駅とその駅前広場がある。江戸の街の基本骨格や東京駅の位置付けが、駅前広場の再整備とともに復元されて可視化されている。それを引き立てているのが、容積率移転による超高層ビル群、しかも、かつての百尺規制による高さ制限が引用された、なんとも妙に整った街並みだろう。この場所からは、鉄道、車両、歩行者、自転車といった交通モードも、水平方向にも垂直方向にも展開していることを体感できる。

展望台やクルーズなど、風景を遠くまで見通せる場所でぼんやりしていると、いろいろ妄想が膨らむよね。まさに俯瞰的な態度が獲得できた気分になる。この気分を手に入れるだけでも、十分価値があると思うな。