はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

果てなき消耗戦

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記憶の中にぼんやりと残っていた写真を、ようやく探し当てることができた。車で長野県小谷村に行った際に、日本海に抜けて親不知海岸まで足を伸ばしたことをすっかり失念していた。

北アルプス山脈の北端が日本海に飲み込まれている場所は、知らない間に親子の行方がわからなくなるという名の通り、昔からの交通の難所だ。尋常ではない波の力が作用し続けているため、現代の道路や鉄道もずいぶん苦労しながら維持管理されている。

もちろんその海岸を防御すべく、消波ブロックというクローン兵が大量に配備されている。しかし、彼らは荒波に揉まれて疲弊し、摩耗し、強制的に砂に戻されている。なんとも言えない悲壮感が漂う消耗戦。献身的な彼らのことをうっかり忘れていた自分を叱責している。