数年前に山口市民会館で観察した壁。天端に降った雨水が流れる様子が可視化されている。
一番上に当たる最初の鉛直面は全体的に風雨に晒されているためか、比較的均質にグレーの色がついている。斜めの面になると、その切り合い点でいったん水が溜まり、ある程度集約されるようで、グレーも濃くなる。もしかすると、一部は壁から離れて鉛直に落下しているかもしれない。その下の鉛直面は落下のスピードが速まるためか、斜めの面に描かれているような迷いはなく、スッとした直線が描かれている。そこにはある種の風情が宿っている。
重力や形態の影響を受けつつ、時間をかけて育った壁面は、そこに意図はなくても鑑賞に資するものになるようだね。