はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

海底トンネル体験

津軽海峡の地下を通る青函トンネルは、1964年に着工して1988年に完成した、全長53.85kmのとてつもない大事業で生み出された海底トンネルだ。その情報の一部は、竜飛崎のすぐ近くにある「青函トンネル記念館」で知ることができる。少々くたびれた感じの展示施設だったものの、建設時に培われた技術やさまざまな逆境が示されており、見応え満点だった。

この記念館の目玉は、なんと言っても「坑道体験」だろう。実際のトンネル工事で人員や物資の輸送に使われ、現在も保守点検などで使われている竜飛斜坑線というケーブルカーに乗って、海面下140mにある作業坑の地下空間を堪能するのだ。ガイドの方による解説と録音済みの解説、そして実際に掘削に使われた機械や器機などの展示により、地上の展示で見た先進ボーリング技術、地盤注入技術、 吹き付けコンクリート技術などが、リアリティを伴って理解できるよ。

ケーブルカーに乗り込むと、気圧差から生じる風を避けるための風門が回転灯によるアラートとともにせり上がり、一直線に地底深くに向かうトンネルが見えてくる。その時はテンションが爆上がりになったな。かつて竜飛海底駅だった「竜飛定点」にまで行けると、なお良かったんだけど。