弘前では雨に降られたことでまち歩きを断念し、8つある前川國男建築を巡ることに注力した。弘前公園の中にある弘前市民会館と弘前市立博物館の外観を一通り眺め終えると、目の前にあった水飲み場に目を奪われた。
3方向に分岐する水道管が、躯体の表面に露出しているのだ。こういうタイプって配管は埋め込まれているはずだよなあと目をこすりながら、何周も回って確認してしまった。よく見ると、もともとの蛇口が設置されていたであろう箇所は、丁寧に塞がれている。それらの位置に、ぐにゃりと外部を這う水道管から生えた新たな蛇口が設置されている。排水は躯体に凹部が設けられているので、オリジナルのままだろう。
おそらく老朽化の問題が生じ、コストの都合でこうなったのだろう。古いものを永く使うという点では、SDGs的な解決と言えるのだろうか。本来の姿から逸脱した場当たり的なものではあるが、こういう改造も嫌いではない。