はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

地下天井川

先週、個人的には超絶アウェイな街、渋谷に行ってきた。地下鉄銀座線が地上3階に位置する高架駅になっているなど、この街は谷っぷりがすごいわけだが、さらにそのことを実感できる場所に立ち寄ってきた。一部界隈では有名な、暗渠化された渋谷川を見上げることができる地下広場だ。なにを言っているのかわからない方もいると思うので、少々補足しておこう。

渋谷という谷地形をつくってきた渋谷川の上流部(穏田川、宇田川、河骨川など)は、すでにすっかり暗渠化され、下水道として位置付けられている。渋谷駅周辺は近年さかんに再開発が行われており、地下空間の利用形態や歩行動線もバッチリ整理したのだろう。それに伴って暗渠化された渋谷川の流路を変更する工事が行われたようだ。そして、巨大な函渠が上空を渡る特異な地下空間が生まれたのだ。

水路の存在など無視するかのように、コンクリートの函渠の側面には大きな広告が掲げられ、底面や柱は化粧パネルで覆われている。どのくらいの割合の通行者がこの川というか下水を意識しているのだろうか。こんな面白い風景はめったにあるわけではないので、重要なインフラとしての渋谷川をもっとアピールしてもいいんじゃないかね。