はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

スタジアムツアー

先日、不定期開催されている「国立競技場スタジアムツアー」にほとんど思いつきで参加してみた。これがとても面白くて、テンションが爆上がりになった。これまで何度もテレビで目にした空間に、自分がひょっこり紛れ込むという不思議な体験は、とてもワクワクするものだ。まさに現在行われている高校サッカーのテレビ中継も、妙な親近感やリアリティを抱いてしまう。

ツアーと言っても解説員がアテンドしてルート通りに巡るようなスタイルではなく、立ち入り可能エリアを自分のペースで自由に見て回ることができるという、僕にとってはたいへんありがたいものだった。全く縁がなかったインタビューゾーンやロッカールームにも立ち入ることができ、ラグビーやサッカーやオリンピックの選手たちが壁に残したサインも見られる。もちろん階層ごとに傾斜角が異なる観客席や木材をふんだんに使用した大屋根もじっくり鑑賞することができる。しかしなんと言ってもトラックやフィールドに降り立つことができる体験は、なかなか得られるものではないよね。

このツアー自体はとても楽しめたが、幻となってしまったザハ案のスタジアムが体験できたらより良かったのになあという想いが頭をよぎる。10年ほど前に実施されたコンペの結果を知った際には驚愕したわけだが、久しぶりにその当時の感想を見てみると、なおさら見たかったと思わざるを得ない。実現した国立競技場を堪能することも大事だが、あの恥ずべきドタバタを忘れるわけにはいかないよね。