はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

橋をデザインする

橋の設計に携わる若い読者を想定した「橋をデザインする」という本が出版された。橋の設計を多角的に捉えながら「コンセプチュアルデザイン」という視座を獲得していただくために、さまざまな角度から実際の橋の設計事例をたくさん取り上げて、その設計思想を論じたオムニバス形式の本だ。錚々たる著者の中に、僕もこっそり紛れ込ませていただいている。

この本のきっかけは、2019年3月5日に40歳の若さで亡くなった増渕基さんへの追悼の想いだ。将来を嘱望していた彼への思いを共有している8人が集まり、彼が探求していた「橋の構造芸術」を世に伝えたいという気持ちから本書をまとめた。彼は生前「日本には優れた橋があるのに、その橋の設計思想について解説した本が少ない」と語っていたことが、大きな原動力となった。出版に至るまでにいろいろと紆余曲折があって時期が遅くなってしまったけど、日の目を見ることができて本当にありがたい。

なお、ささやかではあるけれど、著者達の印税は全てご遺族の育英基金とさせていただきます。極めてニッチな本だとは思うけど、ご興味のある方はぜひ。