はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

東京の新しい視点

東京建築祭」というイベントが2024年5月25日と26日の2日間を中心に開催された。ロンドンで開催されている「Open House London」や、大阪で開催されている「生きた建築ミュージアム大阪(イケフェス大阪)」と同じように、実際に使われている建築物が特別に公開され、さまざまな角度からその魅力を味わえるイベントだ。普段は立ち入れないようなオフィスビルやバックヤード、知られざるエピソードに触れる場面などもあり、貴重な体験が得られる。今回のイベントは「日本橋・京橋エリア」「丸の内・大手町・有楽町エリア」「銀座・築地エリア」において、自由に立ち入りできる「特別公開」と、基本的に有料の「ガイドツアー」のほか、連携イベントやブックフェアなどが行われた。

これがかなりの大盛況だったようだ。ハッシュタグ「#東京建築祭」がSNSで盛り上がり、各種メディアが報じ、特別公開の建築物には長蛇の列ができた。実際に僕もその行列におののいて、見学をあっさりあきらめた。とは言え、僕は幸運なことに、事前に申し込んでいたガイドツアーに当選していたので、気分良く特別な体験を堪能することができた。その建築物は「東京国際フォーラム」だ。

受け付けを済ませると、いきなりヘルメットと安全帯を手渡され、最初からテンションが最高潮に。向かった先はホールの屋上空間。ここからは、めったに見ることができないさまざまな設備とともに、現在の東京の上部だけが切り取られた風景を眺めた。それは、いつも体験している街とは全く異なるもの。つまり、これまでとは異なる街の見方を自動的にインストールすることができたのだ。さらに、謎の屋上庭園、地下駐車場にある秘密のドア、いざというときの防災備蓄庫、あの有名なガラス棟の屋上などを軽妙なガイドで見て回る充実のコースで、大満足のツアーだった。

たまたまの偶然だが、別会場でこのイベントのキーパーソンにばったり出会い、ほんのちょっとだけお話を伺うことができた。想定よりも多い来場者があり、すでに多くの反省点が見えてきているという。イベントの初回はいろいろあるもんね。ぜひ来年以降も開催して、じっくり育てていってほしいな。徐々に対象物件を増やして、エリアを拡大して。そして、いずれは街の中にひっそりと溶け込んでいる土木施設も同時に対象になるといいよね。

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