はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

建築旅のヒント誌

昨年の夏はコロナ禍で溜まった航空会社のマイルを活用してヘルシンキ方面に避暑に行ったが、今年は為替も物価もアレなので国内旅行で我慢することにした。行き先を決めるにあたっては、12年目になった愛車で無理なく行ける範囲であることと、本ブログのネタをプロットしたマップ「はちまドボク地図」の隙間をなんとなく埋めることを意図した。

あれこれ考えているうちに思いついたのが、企業情報誌『LIXIL eye』の特集「建築のまちを旅する」で取り上げられた都市を訪れること。これは、ある都市やエリアにある建築物を通じて、その背後にあるストーリーを辿ることで地域文化を浮かび上げるというもの。さらに、そのエリアにある建築を多数紹介して、旅のコンテンツにしてくれるものだ。ドボク旅のスパイスとして、建築旅の視点も付加しようという作戦だ。熟考の結果、「米沢」と「三春」を織り交ぜる旅を計画した。

これがなかなか素晴らしい体験になった。なにしろ特集の切り口は、歴史的な背景や建築家の人物像に迫るものなので、自分にとっては新鮮な学びが得られる。その上で、実際の空間を体験するのだから、理解が進む。しかも、かなり効率的に。

個人的に駅弁「牛肉どまん中」のイメージしかなかった米沢という街は、築地本願寺や明治神宮で有名な建築家・伊東忠太の出身地とのこと。米沢城の本丸跡につくられた上杉神社は、一度消失したが伊東忠太の設計で再建された。両親が住む故郷への恩返しの想いを、記事をトレースしながら実際の空間体験によって確認することができた気がする。上の写真は上杉神社の「祭器庫」。高床式で校倉造りの木造建築を踏襲した鉄筋コンクリート造。言われなければスルーしていただろうね。

『LIXIL eye』の過去記事は、下記リンクからPDFで読むことができるよ。以下、自分のためのメモとして、「建築のまちを旅する」の掲載都市を列記しておく。ちなみに本誌において僕は、2017年から連載「土木のランドスケープ」を担当しているので、そちらもぜひ。

01 倉敷、02 米沢、03 田辺・白浜、04 唐津・壱岐、05 小樽、06 富岡、07 三春、08 信濃追分・軽井沢、09 金沢、10 高松、11 弘前・五所川原、12 石見、13 富山、14 大磯、15 小国・南阿蘇、16 湯沢・横手、17 高知・室戸、18 宇都宮、19 盛岡