明石海峡大橋のアンカレイジは、とてつもなくでかい。なにしろ全長約4kmの長さの桁を吊り上げるためのおもりなのだから、このくらいでかくて当然だよね。吊橋の構造をある程度知っている人ならば、そんな風に見えるだろう。なぜなら、目に見えない力の流れを無意識で感じ取ってしまうので。
しかし、吊橋の構造を知らない多くの人は、この巨大なアンカレイジが目に入らないだろう。いや、目に入っても見えないと言うべきか、見えたとしても記憶に残らないというか。主塔と桁は認識しても、桁を吊るためにおもりが必要なんて思わないだろうから。
いや、知らないことが悪いなんてことを言いたいのではないよ。ひとりの人間の知識量なんてたかが知れているだろうし、専門外のことなんて全くわからないことだらけだし。だからこそ、知識を得て見えるようになることが、とにかく面白い。視界の解像度が上がったり、世界が昨日と違って見えたり、見えなかったものが見えるようになる知の体験は、なにものにも代えがたいよね。
ふとしたきっかけで、YouTubeコンテンツの「ゲームさんぽ」にはじめてお邪魔した回を久しぶりに鑑賞し、アンカレイジどころかバックステイがない吊橋に驚愕している自分を振り返り、そんなことを思った。