はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

超高密度都市体験

今年の年末は、はじめて香港を体験しに来ている。まだ実質初日であるが、2階建てトラムの最前列を陣取ってはしゃぎまくり、モンスターマンションと呼ばれる集合住宅をはじめとする高層団地群たっぷりじっくり堪能し、大量の餃子や雲呑を味わい、すっかりヘトヘトになっている。

平地が極端に少ないのに人口が極端に多い香港という都市は、とにかく縦方向に成長せざるを得ないようだ。それも、ヒューマンスケールをはるかに超えて。高層団地群のファサードはやたらと凹凸があり、室外機が自由に取り付けられ、むきだしの配管が這い回り、無数の洗濯物が窓から突き出している。つまり、極めてヒューマンスケールなのだ。さらには、多種多様な色彩や文字情報がその表層に氾濫している。とにかく、あらゆる情報の密度が尋常ではないので、興奮しすぎて疲れたのだ。

モンスターマンションと呼ばれる集合住宅の中庭は、あまりにも有名になりすぎて一時は観光客立入禁止になっていたようだが、昨年くらいに解除されたという。たしかに階段から見上げる構図の映え写真を撮ろうとする観光客が長蛇の列をなしていた。もちろん中庭の様子も見応えたっぷりではあったが、外周もかなり見応えがある。僕が特に気に入ったのは、西側にある端正なフィーレンデール形式の歩道橋から眺める外壁の様子。その複雑な造形と住民の自由意志が奏でるカオスな響きにすっかり酔いしれた。

これまでにも映画などで香港の濃密さを感じていたつもりではあったが、やはり現地を実際に体験してみなければわからないという、あたりまえのことをかみしめている。明日も楽しみだね。