はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

閑散モール散策

この週末も神戸に来ている。せっかくなのでまち歩きをしようと思って、お昼頃に新神戸駅に到着する新幹線に乗った。しかし、あいにくの雨でどうやって行動するか悩みながら屋根がある通路に導かれてトボトボ歩いていたら、「コトノハコ神戸」というショッピングモールに到達した。ここで食事しながら作戦を練ることにしたのだが、土曜日の昼下がりなのに人通りが少なく、なんとも閑散としているではないか。たまたま入店した飲食店でオーダーを済ませてからその印象をツイートしたところ、テナントが入っていないことで有名なモールであるとの情報をいただいた。がぜん興味が湧いて、この施設をのんびり散策することにした。

中心のアトリウムは吹き抜けやデッキがアクセントの豊かな空間が形成されている。ライティングもギラギラしているわけでもなく、スッキリ上品にまとめられているように感じた。全体的にとてもきれいに管理されている印象を受けた。通行人は少ないものの、誰もいなくなるタイミングはなかった。問題は、店舗ゾーン。なにしろ衝撃的なレベルでテナントが入っていないのだ。閉鎖しているフロアすらある。しかし、ゼロではないというところが、さらに寂寥感を引き立てている。その異空間っぷりに、ワクワクしながら雨の時間を過ごすことができた。ここは神戸の名所のひとつと言っても差し支えないだろうね。

ホテルの部屋で仕事を終えてから、このショッピングモールについてChatGPTにいろいろ尋ねてみた。どうやら神戸市のコンベンション構想に基づいて、ダイエーグループが開発と運営を担って、ホテルと劇場と商業施設の複合施設を1988年にオープンさせたのがはじまりらしい。そこから経営も名称も頻繁にあれこれ変わり、商業施設は2019年に「コトノハコ神戸」としてリニューアルオープンしたようだ。テナントが少ない理由としてChatGPTは、乗換えに適しておらず滞留客が少ないという「交通上の不利」、バブル後から何度も低迷して再出発してもすぐ客足が戻らなかったという「歴史的な商業集積の失敗」、コト消費や劇場だけでは集客が不十分で地元や旅行者に魅力が届いていないという「需要と供給のミスマッチ」、三宮・ハーバーランドに比べて“何をするにも不便”なエリアという「周囲の商業圏との競争劣位」の4点を挙げている。つまり、バブルの波に乗って大きなハコはつくったものの、メインの顧客となるべき神戸市民が利用しにくい環境にあるということかな。