はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

わかりにくいパーティション

オランダの本名はネーデルラント、つまり低い土地。そこを流れる河川は、洪水や高潮に対する防災のための排水路、物流や交通のための運河の両者が、おそらく高度に融合して機能している。長い時間をかけて人為的な分流や合流を繰り返してきたのだろう、同じ流れのはずなのに途中で名称が変わったりして、未だに良く理解できない。本当に分かりにくくて困るんだよな。これまで苦手意識を持ちながら横目で眺めてきたのだが、いよいよ理解に向けて努力した方がいいのかもと思い、今回のオランダ旅行の行程に取り入れてみた。

スイスアルプスを水源としてドイツ経由でオランダに流れ込むライン川は、オランダとの国境を越えてすぐにワール川とパネルデン運河に分流している。パネルデン運河はやがてネーデルライン川、レック川、さらにロッテルダムを流れるニューウェ・マース川になるようだ。この時点で、すでになにを言っているのか自分でもわかっていないが。ともあれ、ネーデルライン川に分流する地点にある、2014年に完成した「Regelwerk Pannerden」という構造物を見に行った。よくわからないけどかっこよさそうだという理由で。

これはワール川とパネルデン運河の分水比率(2/3と1/3)を、ライン川が増水した際にも一定に保とうとする「可動堰」という理解でいいのかな。そうしないと、パネルデン運河が偏って増水してしまい、治水上の問題が生じるようだ。堰の仕様は長さ175mで、高さ1mのコンクリート製パーティションを5枚積み重ねて5mまで高くできるもの。機械で操作するのではなく、重機を持ち込んでパネルの上げ下げをする仕組みらしい。やっぱりなにを言っているのかわからない。極めてシンプルな構造物なのに、日蘭の国土の成り立ちが違いすぎて、まったく理解しにくいな。気になった方は、下に公式動画を貼っておくので、ご参照ください。

この氾濫原は年間の大半は乾燥しているらしく、馬の放牧地として活用されていた。そのエリアに降りる場所にはオランダ語で書かれた立て看板があり、もしや立ち入り禁止か?と思って翻訳アプリにかけてみるとどうやら「立ち入りは自己責任で」ということのようだった。その先の柵には「大型草食動物がいるので、この扉は必ず閉めてください」ということのようだった。ここでもオランダっぽさを感じたな。


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