はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

曲面の違和感

オランダ最古の都市のひとつと言われるナイメーヘンは、スイスアルプスに端を発してドイツを流れるライン川が分岐したワール川のほとりにある。平地が少ない島国の日本の感覚では少々捉えにくいのだけど、大きな船舶が頻繁に行き交う河床勾配が緩やかな国際河川である。それゆえ、日本の感覚では少々捉えにくい水害が発生する。ナイメーヘンも被災しやすいエリアだということで、巨大プロジェクト「Room for the River(Ruimte voor de Rivier)」の対象地になっている。

この事業をざっくり説明すると、河道の流下能力を高めてピーク水位を下げると同時に、生態系や都市空間の質を向上させようというもの。その中で生まれたのが「フェレンデ・ワール橋(Verlengde Waalbrug)」の景観。このヌルッとした曲面で構成される4径間連続PCラーメン橋?シェル橋?は、強烈な個性を放っている。

橋のつくり方を知っている人であれば、ビビったり、不思議がったり、下手をすると馬鹿にするだろう。こんなエグい曲面のコンクリート橋は、そもそも河川上では施工できないはずだと。それもそのはず、桁下の水面は掘削された「放水路」であり、コンクリートを陸上で打設した後に人工の水面がつくられたのだ。そのことがわかると、多少なりとも「Room for the River」がどんなものかを実感できる。そして、あらためて「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつくった」という言葉が脳裏をよぎる。

完全に人為的ながらも、極めて現代的な環境づくりやアクティビティーづくりがセットで行われており、とても居心地のよい空間になっていた。家族連れがくつろいでいたり、ランニングやサイクリングをしていたり、犬の散歩をしていたり、カヌーの練習をしていたり、本当にいろんな人がそれぞれの時間を過ごしていた。ここら辺も含めて、実にオランダっぽいんだよな。