はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

哀悼

数日前、信じがたい報せが届いた。大切な友人であるネイ&パートナーズジャパンの渡邉竜一さんが、亡くなったという。いまもなお、その事実をうまく受け止めきれずにいる。気がつくと、ぼんやりと彼のことを思い出したり、いっしょに出かけたときの写真を見返したりすることを、何度も繰り返している。

彼と初めて会ったのは、ちょうど15年前の2011年1月23日だった。そのときは、彼のボスであるローラン・ネイが手がけた橋梁を含め、ブリュッセル市内を案内してもらった。翌月には、当時ベルリン在住だった増渕基さんも合流し、ベルギー北部の歩道橋などを巡った。橋のデザインをめぐる議論は大いに盛り上がったが、三人それぞれの基本的なスタンスが微妙に異なっていたことが、何より大きな刺激になったのだ。冒頭の写真はそのときのもので、クノッケの歩道橋を歩く渡邉さんと増渕さんの後ろ姿が写っている。さらに同年7月には、ベルリンにも一緒に出かけ、増渕さんの案内で都市や建築、橋など、さまざまな風景を眺めながら、実に充実した旅をした。

その後、お二人はそれぞれ活躍のフィールドを広げ、インフラデザインを牽引する立場へと進んでいった。なかでも渡邉さんは、ネイ&パートナーズ日本事務所の代表として、出島表門橋をはじめとする数多くの構造物を手がけ、これまでの日本の常識に囚われない気鋭の橋梁デザイナーとして広く知られる存在となった。僕もなんだかんだと折に触れてご一緒する機会があり、そのたびに多くの刺激を受けてきた。

2019年3月に増渕さんが不慮の事故で亡くなられ、そして今度は渡邉さんが逝ってしまった。お二人とも、これからの橋梁デザインや都市デザインをより良い方向へと変革し、その中心を担っていく存在になると、多くの人が確信していた人物だった。それだけに、この喪失はあまりにも大きく、残念でならない。個人的には、あこがれでもあった二人の友人を失い、動揺を抑えきれずにいる。彼らの分まで頑張ろうと思いながらも、到底その水準には及ばないことを自覚しているだけに。

僕の中の思い出を強化するために、僕が渡邉さんを取材した記事と、渡邉さんが僕を取材した動画のリンクを貼っておく。ともあれ、ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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