
建設コンサルタントで働いていた頃から、ずっとモヤモヤ抱えていたこと。それは、これほどまでに社会的意義があり、巨大な知性が集積された仕事が、なぜこうも世間様から叩かれなければならないのか、ってこと。
まあ、わからなくもない。人の命や財産が直接的に関わり、大量の税金が投入され、複雑な社会状況とも密接に絡み合うことで、極めて多くの利害関係者が登場する。しかもその眺めの多くは、一見して理解できる単純なものではない。このため、多くの当事者は浮かれたことなどできず、見ても見ていないフリをし続け、批評文化が生まれることもなく、結果的に発信力はなかなか育たない。批判を避けて予算を獲得するためのトレーニングは続けているから、誰も傷つけない上滑りした美辞麗句は得意なんだけど。
とは言え、特にここ十数年くらいで急速に状況が改善されてきたように思う。広い業界内のあちらこちらで危機感を持った方々が、同時多発的にいろんな取り組みを展開しているのだ。それと同時、あるいは先行する形で、業界の慣例に囚われないさまざまなジャンルのクリエイターや発信者が関連する活動をしていたり。そこには、伝えるために不可欠な「体温」があると感じるので、本当に期待している。
辺境部にいる僕としても他人事ではなく、個人的に粛々と活動を続けている。つい最近は、僕自身が実施可能な範囲では、ひとつの理想形ではないかと思える仕事に関わらせてもらった。それが、YouTubeチャンネル「よそ見トラベル」「ゲームさんぽ」の、しまなみ海道のプロモーション動画だ。本州四国高速道路(JB本四高速)のスポンサードにより実現したこの企画で、僕は案内役として長大橋梁の素敵さを語りまくってきた。
僕がこれまでドボクのプロモーションに関わる中で大切にしてきたのは、「役割の重要さ」を説くよりも、「技術の面白さ」を伝えること。インフラが役に立つのは当たり前で、それ以上に「なぜこんな形をしているのか」「重力や風力や地震力などをどう制御しているのか」「でかい」というエンジニアリングの凄みや造形の魅力に触れる方が、僕らの感覚には馴染みやすいよね、たぶん。
もっともらしい理屈を並べてみたけれど、現場ではそんなことよりも、ただただ目の前の光景に大興奮していただけだった。多々羅大橋の水平材から眺める吸い込まれそうな風景、因島大橋の幾何学模様が連続する桁内のサイクリングロード、来島海峡大橋の桁内を移動する点検車や共用アンカーのスプレー室という、普段は絶対に入れない聖域。そこにあるのは、理屈抜きの圧倒的なヤバみだった 。
結局のところ僕自身が一番楽しんでしまった動画になった気がする。完全に公私混同だよな。しかし、ここに生じる熱量こそが、ドボクの魅力を伝える最短距離になると信じている 。またこの手のオレ得な仕事を請け負いたいので、ぜひ動画をチェックしていただき、チャンネル登録と高評価をお願いします。
【前編】
【後編】