はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

執念の石垣

熊本地震から10年。9年前に訪れた熊本城では、まだ崩落した石垣や城壁が痛々しく放置されていた。その一方で、ナンバリングされた無数の石材が、あちこちで整然と並べられていた。石垣の内側を支えていた大量の栗石も、やはり丁寧に積み上げられていた。

その光景には、必ず元の場所に戻すという、執念にも似た固い決意が現れているようだった。石材の形状を過去の写真と突き合わせ、パズルのように元の位置を特定して積み直す。気の遠くなるような作業の集積を思い、実際に気が遠くなった。昨日のニュースによれば、完全復旧は2052年の予定だという。あと30年近くかかるのか。またしても気が遠くなった。

これほどの労力と時間をかけても元に戻すことには、計り知れない意味があるよね。それは風景の再生であり、未来への責任を果たすことでもある。熊本城の石垣は、日本の土木技術の底力と地域文化の象徴なのだから。この執念の石垣の修復過程を、また見に行きたくなった。