はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

近所に旅行

大型連休は年度初めの疲れを癒やし、すでに予定がパンパンになっている5月6月を乗り切るために、しっかり休むことにした。とは言え、何もしないというのも貧乏性的にはアレだったので、安近短の旅行として自宅から1時間かからない範囲で行ける木更津に、1泊2日の旅行を敢行した。

その大きな目的は、3月に収録・放送されたJ:COMの番組でご一緒した女将さんの老舗割烹「宝家」での食事。この番組は「千葉未来会議」と題して、結構な著名人の方々と今後の千葉のありようを考えるという趣旨のもの。なんで僕なんぞがこのような場に紛れ込むことができたのかという理由はさておき、司会進行を務められた小山薫堂さんにお会いできたことが、本当にうれしかった。いやあ、うわさ通りのすごい方だね。キレキレの慧眼や推進力に感激した。

木更津には2014年に講演で1度訪れた際に、少しだけ市内を歩いた記憶がある。当時は駅前通りの寂れたアーケード街がもの悲しく印象的だった。今回はもう少し深く木更津を味わおうと、「きみさらずタワー」「木更津市郷土博物館 金のすず」「鳥居崎海浜公園」「中の島公園」「スパークルシティ木更津」などを訪れるとともに、旧市街を徘徊した。

かつてフェリーが川崎や横浜を結んでいた頃、この駅前通りは間違いなく都市軸だったはずだ。しかしアクアラインの供用後、街の拠点は駅からインターチェンジへと劇的に塗り替えられたのだろう。かつての木更津そごうであるスパークルシティ、現代的なマンション開発とそこかしこに点在する駐車場や廃墟的な建物が混在する風景に、その変容のプロセスが克明に刻まれているようだった。

そんな街の歩みを確認したあと、木更津港の航路を跨ぐ歩道橋「中の島大橋」へ向かった。この橋の不自然なまでの高さは、かつてのフェリーを含む大型船のためなのか。歩行者にはいささか酷な急勾配のつづら折れスロープも、この港の存在意義を象徴している。ここからの夕景は、圧倒的に素晴らしかった。オレンジ色に染まる空に、富士山、横浜の高層ビル群、そして君津の製鉄所の高炉のシルエットが見事に輻湊する。そんな風景を堪能した後に、その多くが東京に流れていってしまう千葉の食材が調理された美味しい料理の数々をたっぷり堪能した。

地理的環境を踏まえた歴史的変遷を飲み込みながら歩く木更津は、実に味わい深かった。そして何より、和菓子屋さん、佃煮屋さん、老舗割烹でお話しした方々が、もれなく心温まる対応をしてくださった。近場を旅行するって、予想を超える良い体験になるんだね。再訪することを心に誓って、帰路についた。