はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

紆余曲折の新陳代謝

いろいろあってあれこれ悩んだ結果、14年連れ添ったFIAT500と今月でお別れすることになったので、最後のドライブとして成田空港の滑走路を望む展望台へ向かった。するとこの場が有する圧倒的な熱量やエンジニアリングの塊を目にして、僕の感傷はあっさり吹き飛ばされてしまった。ひっきりなしに爆音を轟かせて次々と離陸する航空機たち。重力と浮力を力技で制御するメカニズムを見せつけられると、理屈抜きで脳が揺さぶられるよね。航空ファンになる気持ちがよくわかる体験だったな。

周囲を見渡せば、ベンチでのんびり過ごす老夫婦、スマホを構えて記念撮影を撮る家族連れ、大きなレンズをつけたカメラを構えながらずっとおしゃべりしている女性たち、風対策を施した脚立に座ってフライトレーダーを睨みながら複数カメラを操るガチな配信者など、極めて多様な鑑賞者たちがそれぞれの楽しみ方でこの空間を堪能していた。僕自身もすっかり楽しむことができたので、無事に次の車にアップデートできたら、またドライブしに行こうと思う。

成田空港といえば、極めて複雑な歴史的経緯を持つインフラだ。現在はその制約や継ぎはぎだらけの構造を乗り越えるべく、ワンターミナル化や滑走路新設といったドラスチックな機能強化のプロセスが動き出しているらしい。そんなことに思いを馳せると、巨大な都市インフラが現代の経済原理によって最適化され、新たな姿へと変容していく瞬間のエネルギーが感じる気がしてくる。紆余曲折を経ながらもアップデートしていく眺めは、やっぱり現地で体験してみないと分からないよね。僕も過去の感傷に浸るだけではなく、変化のダイナミズムに身を投じよう。