はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

水平垂直中心

f:id:hachim:20171117202444j:plain

9月のブータン訪問の最終日には、重要施設である県庁兼寺院の「パロ・ゾン」を訪問した。この巨大な元軍事施設は、もともとあった建物が20世紀初頭に焼失して再建されたものだという。映画「リトル・ブッダ」のロケ地にもなったとのこと。

その荘厳さにはたいへん感激したわけだが、同時にムズムズする気分も味わった。立面写真がどうしても決まらないのだ。どこかに必ずあると思い込んでいた中心や直交の手がかりが見出せず、右往左往してしまった。中山間地域の民家の立面写真を手当たり次第に撮影した集落調査でもムズムズしたのだが、ブータン王国を代表する建造物も全く同じというわけだ。航空写真を見ても、全体的にゆがんでいることがわかるし。ブータン人にとって「整える」ことは、それほど重要なことではないようだ。

土木構造物や建築物は、建造物は水平と垂直が基準となっていて、左右対称性への意識がどこかに内包されている、僕は無意識的にそう認識していた。ところが、それは偏った価値観であることを思い知らされた。自分の内側にある常識なんて、外側の世界からするとごくごく小さなもで、どこまで行っても主観的な「思い込み」でしかない。そのことを常に心がけておかねばね。

あとからトンネル

f:id:hachim:20171111142027j:plain

先日、打合せの最中に2011年の写真を遡っていたら、ドイツのアウトバーンで撮った写真が視界に入り、気にかかった。アーチ状のコンクリートの梁が、両側の壁からポコッと生えた出っ張りに載せられて、結構な延長にわたって連続して道路を横断している施工中の状況だ。あれ?この妙にかっこいい道路空間ってなんだっけ?となった。

もちろん当時も気になったから撮ったのだろうけど、通りすがりに流れ去った6年も前の気分を呼び戻すことなど、なかなかできない。場所もよく分からず途方に暮れつつも、あらためてGoogleマップや画像検索などをあれこれ試し、ようやく「Einhausung Lövenich」という施設であることを突き止めた。ちょっと時間をかけすぎたけど。

騒音対策を目的に、アウトバーン1がケルン西部の住宅地を抜ける区間に設置された「覆い」とのこと。もともとよくある土工区間だったところに、側壁と天蓋を構築して新たな「トンネル」に仕立て上げたようだ。ドイツにおけるGoogleストリートビューはプライバシーの問題で機能していないため、施工が着手したと思しき2008年という、ずいぶん前の状況しか出てこないことから確認できた。

えっ?騒音対策でこのスケールなの?ちょっと豪勢すぎやしないか??と思うよねえ。たしかに周辺は緑の覆い閑静な高級住宅地のようだけど。あらためて検索してみると、やはり問題になっていたらしい。必要以上の過剰な性能を求めて高くなりすぎた上に、その効果は低いんじゃないかという批判。まあ自動翻訳だから正確なところは分かりかねるけどね。

参考:Frankfurter Allgemeine “Der Lärm bleibt in der Röhre”
   RP ONLINE "Tunnel auf A1 : Lärmschutz für 200 Millionen ist ein Flop"

わくわくトランジット

f:id:hachim:20171106124721j:plain

僕はどこかに旅行に行くとき、ストレスを少しでも減らしたいために直行便を基本としている。7年前にオランダ入りする際、わずかな金額をケチってヒースロー経由にしてしまい、結果的に高くついたことがあるためだ(参照:渡航初日)。そうは言っても、目的地によってはどうしても選択できない場合もある。そんなときは、トランジットの時間を短縮するのではなく、その時間をのんびり楽しむくらいのスケジュールにしておきたいと思っている。トラブル時の対処も落ち着いてできるだろうし、そもそも空港内の散歩だけでも十分楽しめたりするのだ。もちろん空港の規模にもよるし、荷物をどこかに預けておくことが前提なわけだけど。

9月のブータン出張では往路復路ともバンコクのスワンナプーム国際空港経由だった。この空港は巨大で見どころも多いため、たいへん楽しかった。往路は夜中の発着だったので、誰もいない広大な搭乗ゲート空間を落ち着いて堪能できた。復路はバンコクで一泊したが、あまりの疲労感のために高温高湿の街を歩く気になれず、市内でタイマッサージを受けただけで、さっさと空調が効いている空港散歩に切り替えた。途中に平場がある三列三段のエスカレーターとか、意味も無く何度も乗ってしまうほど楽しかった。

まあしかし、そんなことは言い訳に過ぎない。バンコクはとても面白そうな街だったので、いつの日か目的意識を持って、最低限必要な体力を備えて再訪したいと思っている。スケジュールの盛りすぎに注意しなければならない年齢になってきたんだな。