はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ラッピング名所

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ロンドンの象徴とも言えるウエストミンスター宮殿およびビッグ・ベンと呼ばれる時計塔は、現在絶賛大改修工事中。もちろん僕もその事実は知っていた。だからこそ、今回の旅でわざわざ立ち寄ってきた。なにしろ、みんなが知っているガイドブックの写真と同じ眺めではなく、今しか見ることができない歴史をアーカイブする瞬間の眺めなのだから。そう、観光名所が改装工事中ってときでも、がっかりすることなど全くなく、むしろ積極的に鑑賞しまくろうね。

最近、そんなモヤモヤした気分になるコラムを書いた。ITコンサルティングを得意とするシンクタンク・みずほ情報総研の企業広報誌「NAVIS」の最新号だ。このバリバリのITテック系ビジネス誌に、なんとも気の抜けた『街角コレクション』という連載記事を担当させていただいたのだ。よくもまあ2年間(通算7号)も通していただけたものだ。その事実だけで素晴らしい会社であるってことがわかるよね。いや実は、詳しくは存じ上げないのだけど。

過去の記事は以下のリンクからpdfファイルをダウンロードして読めるので、気が向いた方はご笑覧下さい。もちろん面白い記事がたくさんあるよ。個人的にはいつも「ツチヤ教授の大人の社会科見学」を楽しみにしていたな。

 街角コレクション(1) タワコレ

 街角コレクション(2) ぐるぐるスロープ

 街角コレクション(3) 室外機の展示

 街角コレクション(4) 巧まざる造形

 街角コレクション(5) ベネチアの人々

 街角コレクション(6) ビルバオの枯山水

 街角コレクション(7) ラッピング名所 ※数ヶ月後に公開されると思います

 

ティンタジェルへの旅

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明けましておめでとうございます。

もともと弱い記憶力が年が変わるたびに輪をかけてやばくなっている気がするが、10年以上も継続しているこのブログにずいぶん助けられている。記録を残し続けることって若い頃はそんなに執着しなかったけど、極めて有益なんだなあと実感している。体験の記憶の外部化は、情報化社会の重要な恩恵だね。そんなわけで、本年もダラダラとブログを続けようと思っている。

年末の「私的ドボク大賞2019」では『ティンタジェル城歩道橋』が受賞したわけだが、立地環境も含めて本当に見応えがある橋なので、今後訪問してみようかなあと思う方もおられるだろう。できたばかりだし。ところが、現地にたどり着くハードルはそこそこ高い。そこで、今回の旅で得た留意点や反省点などを書き残しておこうと思う。年初なだけに、たまには誰かの役に立つ情報も書いておかないとね。もちろん旅のスタイルに大きな個人差はあるだろうから、自分流にアレンジしていただきたい。

【日程】
まず時期については、当然のことながら春や夏などの日照が長い時期にした方がいろいろ有利になる。でも、渡航のタイミングには外的要因も大いにあるだろうから、行けるときに行っちゃうのが正解だろう。いずれにせよ、この橋の特徴のひとつの広範囲かつ高低差のある視点場は最大限に活かしたい。つまり、多様な表情の橋をじっくり鑑賞することを強く意識して、予備日を設定して臨んだ方がいいと思う。めったに行けない場所だしね。
僕は今回ティンタジェルに2泊したが、結果的に正解だった。初日の朝はレンタカーでヒースロー空港を出発したのに、ティンタジェルに到着したのは日がとっぷり暮れた夕方になってしまい、現場を見ることができなかった。本命に設定していた2日目は強い風雨のため、歩道橋は通行禁止になっていた。それでも遠くから谷越しに見下ろす場所や、海岸から見上げる場所などには行けたので、雨雲レーダーを見ながらわずかな切れ目を狙って鑑賞した。そして、予備日に設定していた3日目に、ようやく無事に渡る体験ができた。ホテルの宿泊客によると風が強くて橋が渡れない日は多いようなので、特に冬期は注意した方がいいだろう。
ちなみに夏期には別の問題があるようだ。ティンタジェル城はイギリス人にとって大人気の観光地であり、日によっては入場規制がかかるほど混雑するとのことだ。事前に公式ウェブサイトから事前購入しておけば問題ないが、日時を決めなければならないので、日が近くなってから天気予報を見据えつつということになるかもしれない。いずれにせよ複数日を確保しておけば、現地での自由度が増して、臨機応変に対応できるだろう。

【行程】
いま調べてみたら、ロンドンとティンタジェルとの直線距離は約340km。東京から女川が同じくらいの距離だね。往路の走行距離は約440kmにもなり、僕が思っていた以上に距離があった。ちなみにイギリスはGoogleマップでもマイル表記のため、ピンとこなかったが。しかも、ブリストルおよびロンドンに向かう復路では、何度も渋滞に巻き込まれてしまい、行程を変更せざるを得なかった。
レンタカーで移動した実感として、ブリストル、エクセター、プリマスあたりまでは電車かバスで移動した方がいいと思った。もし僕が次に行くとすれば、クリフトン吊橋がありウェールズ方面への起点となる港湾都市・ブリストルでレンタカーを借りるかな。それと、旅の冒頭にいきなりレンタカーを借りるとストレスがたまりやすいので、最初の数日間は都市部でバスやタクシーに乗って現地の交通の雰囲気に慣れる行程にしたいね。
ちなみに今回の旅で電車やバスを使わなかった理由は、クリスマス休暇にバッチリ重なってしまったこと。あちらの公共交通機関は12月24日の夜から25日にかけてはほぼ機能しなくなることを、航空券を手配した気がついたのだ。今回の航空券はやけに少ないマイレージで入手できたのだが、そこに落とし穴があったんだな。さらに、イギリスは日本と同じ左側通行なので楽勝だろうと思ったことや、電車のチケットの購入が少々複雑で怖じ気づいてしまったこともある。今にして思えば、24日のうちに飛行機を乗り継いで、さっさとブリストルに入ればよかったなあと思っている。

【現地の交通】
現地までの交通は、特に悩ましいところだ。なにしろティンタジェルは鉄道が通っていないので。ティンタジェル城歩道橋だけが目的であれば、バスを選択するのが賢明かもしれない。ついでに周辺のなにかを見て回ろうとする場合にはレンタカー一択になるが、イギリスの丘陵地の道は少々手ごわいので、多少の覚悟は必要だ。
なにしろカーブとアップダウンがやたらに多く、道幅も狭い。特にティンタジェル周辺のウネウネ道は避けて通れないと思う。それと、おそらく煽り運転のつもりは全くないのだろうが、あちらのドライバーの車間距離の近さは大いにプレッシャーになる。放牧されているヒツジを囲うためであろう生け垣のプレッシャーもなかなかだし。
それでも、レンタカーを走らせながら眺めるイギリスの田舎道の風景は、本当に楽しい。きっといい体験になるよ。

【現地の地形】
最果て感がある海岸段丘はなかなかのものなので、それなりの距離と高低差を歩き回る覚悟をして行こう。上下2箇所にあるティンタジェル城趾の入口は、いずれも街の駐車場から20分程度歩くことになる。ティンタジェル城跡は入場料が13ポンドで、そこそこ広く見どころも多いので、歩道橋だけを見るのではなく、のんびり散策するといいだろう。詳細は公式ウェブサイトを参照していただきたい。
ちなみに周辺の遊歩道、干潮時に入れる洞窟や滝がある海岸、たもとのトイレや飲食店ゾーンなどは無料エリアだ。悪天候だった初日は割り切って、無料でさまざまな眺望を楽しんだ。

【アーサー王の事前学習】
ティンタジェルに行くことを決めてから、あのアーサー王の生誕地と言われていることを知った。聖杯伝説とか、円卓の騎士とか、聖剣エクスカリバーとかが登場する、現代のファンタジーの元祖にあたる中世騎士道物語の主役だ。これについては、多少なりとも勉強していった方が現地をより楽しめるだろう。僕もそのつもりでいたのだが、直前まで気持ちと時間のゆとりがもてず、ほったらかしにしてしまった。
渡航の直前に映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を見直してみたものの、あまりにもバカバカしく(褒め称えている)、イギリス人の頭のおかしさを再認識したものの(褒め称えている)、予習としては不適切だったと言わざるを得ない。それでも、中世の雰囲気を少し味わっておいたことは、いい方向に作用したと思う。

【その他】
ドボクめぐりのようなマニアックな旅には、さまざまな段階で多くの留意点やコツがあるだろう。その一部は『ヨーロッパのドボクを見に行こう』の第7章「ドボク旅行のテクニック」にもそこそこ記載しているので、この際ぜひご参照いただきたい。

ずいぶん長くなってしまったけど、本年もよろしくお願いします。

 

モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル [DVD]

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ヨーロッパのドボクを見に行こう

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  • 作者:八馬 智
  • 出版社/メーカー: 自由国民社
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私的ドボク大賞2019

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今年はロンドンで大晦日を迎えている。これまで溜め込んだマイレージをフル活用して往復の航空券を入手したので、食事や宿泊などのコスパが極めて悪いイギリス旅行で散財しても、それほど気にならないというわけだ。過去に1度だけ来た時に、ドボクのデザインがヨーロッパ大陸とは少し違うという印象を抱いたが、今回もじわじわと同様の感触を得ている。ここら辺はいずれ言語化していきたいな。

さて、今年も第11回目となる歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を催行しよう。これは僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が感激したものを自薦して、僕が選考して表彰するという、誰にも共感を求めない自作自演のアワードだ。選考のステップは、twitteを用いてノミネート候補作品を抽出し、そこから最終選考の対象となる作品を絞り込む方式とした。最終選考の対象は、以下の8作品である。

1:ビスカヤ橋(ビルバオ) 2:アジオスの水道橋(ナバーラ) 3:アグラーセン・キ・バオリ(ニューデリー) 4:木野部海岸(むつ市) 5:女川の復興まちづくり 6:日立鉱山関連施設(日立市) 7:旧草津川(草津市) 8:ティンタジェル城歩道橋(ティンタジェル)

28作品からここまで絞り込むのに、ずいぶんと悩んだ。泣きながら選外とした作品も数多い。今年もいろんなドボクを体験したことを、あらためて実感している。その中から抽出した8作品は、どれもこれも自分の価値観を揺さぶるほどのインパクトがあったものだ。最下方にリンクを付けておくので、ご参照いただけると幸いである。参考までに、ノミネート候補の28作品は以下のリンクから確認できる。

 

さて、さらに問題はここからだ。どれをグランプリとするか…。

……。

………。

…………。

 

よしっ! 2019私的ドボク大賞は『ティンタジェル城歩道橋』に決定だっ!!

数日前に見たばかりでまだ自分の中で消化しきれていないにもかかわらず、これほど衝撃を受けた構造デザインってのは自分の中では珍しい。それはもちろん、極めて特殊な架橋位置の特性が影響していることは間違いない。この新しい橋は、架橋位置の文脈を丁寧に読み解き、統合的な解決策を構造物によって示している。現代の「橋」の意味を、ド直球かつ超クオリティで突きつけていることには、素直に感動した。

その一方で、わずかな不安要素として、今年の夏にできたばかりの橋ってことがある。早くも錆汁が見られた箇所もあるし、振動や潮風の影響は侮れない。メンテナンスはずいぶん手がかかりそうな気がするが、イングリッシュ・ヘリテージの枠組みがしっかりしていそうなので、そのあたりも配慮されているのだろう。いずれにしても、経年変化にどのように追従していくのか、今後もフォローしていきたいなあと思う。

ちなみに現実感が無い歩道橋の様子は、以下の動画でも確認できる。周辺環境や構造の概略説明もなされているので、今後この橋を見に行こうとする方々にとって、大いに参考になるだろう。実際に体験できた僕も、ことあるごとに噛みしめたい。まあ自慢したいだけなんだけどね。

ということで、このブログを飽きずにご覧くださっているみなさま、どうもありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

 


The Making Of Tintagel Bridge

 

1:ビスカヤ橋(ビルバオ)


2:アジオスの水道橋(ナバーラ) 


3:アグラーセン・キ・バオリ(ニューデリー)


4:木野部海岸(むつ市)


5:女川の復興まちづくり
 ※後日書くつもりです…


6:日立鉱山関連施設(日立市)


7:旧草津川(草津市)


8:ティンタジェル城歩道橋(ティンタジェル)