はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

名塔に大空間を与えたEV

あらためて写真を眺めても、エッフェル塔はすごいな。ここまで多くの人に感動を与えられる構造物も珍しいんじゃないか。誕生当時のディスられっぷりは凄まじかったようだが。 ひとつひとつの部材が極めて注意深く構成された肌理の細かさにも驚愕するけど、な…

斜行事例

ある方とのやりとりの中で「社交辞令」が話題となった。しかし、あっという間に「斜行事例」の話題にすり替わり、大いに盛り上がった。いや、一方的に僕だけな気もするが。鉛直でも水平でもなく斜めに移動するってことは、特別な事情を乗り越えるための解決…

毎日が遊園地

3月に広島に出張した際に、ずいぶん前から「いつか見に行くリスト」に入れていた「スカイレール」を、ようやく体験できた。噂に違わず、血湧き肉躍る唯一無二の新交通システムだった。なにしろ懸垂式モノレールなのかロープウェイなのかゴンドラなのかケーブ…

不当な扱い

今日は駐車場に関する文章を書いていたのだが、すっかり迷走してしまった。駐車場って現代の都市において極めて重要な役割を担っているのに、不当に低く扱われているんじゃないかと憤慨しはじめたのだ。 駅とか空港などの交通モードが切り替わる場所って、そ…

水没する美ダム

1週間ほど前、衝撃的な事実を知った。なんと、スイスのグリムゼル峠近くにある水力発電用の重力式アーチのグリムゼルダム(Spitallamm Dam)の直下流に、23m高い新たなダムが建設されはじめたという。つまり、1932(昭和7)年に完成した階段状のかっこいい…

大型連休の過ごし方

「STAY HOME週間」はなぜ「STAY HOME WEEK」や「自宅待機週間」ではないのだろうという疑問はさておき、この大型連休を家で過ごすためになにをするかを考えることは、たいへん重要なテーマだ。まあ僕の場合はこの週間に、慣れないリモート講義に使う動画の制…

特殊歩道

シュッとした白い二連アーチを持つ広島の太田川大橋は、その自転車歩行者道がものすごく特徴的で、これを渡ることによって橋梁景観の体験が豊かになる印象を持った。なにしろそのシークエンスがとても印象的なので。 写真奥の左岸側は、下流側の車道よりもわ…

世界の見方の拡張

文化は人と人との接触から生まれる。ところが現在、その関係を断つことを迫られ、他者に対して疑心暗鬼となり、得も言われぬ重苦しい空気があたりを覆っている。生命や経済の危機に際しては、文化という価値などはじめからなかったような雰囲気すらある。し…

大地の穴

人類は穴を掘り続けてきた。断熱性や保温性のある住処として、生活で出た廃棄物を埋める場所として、死者を弔い大地に還す場所として。まだ科学と信仰が一体だった頃、莫大な利益や強力な軍事力につながる錬金術に魅せられ、採掘の技術や規模は拡大していっ…

アーチで補剛

2014年に竣工した広島の太田川大橋は、僕の中にある単弦アーチ橋のスタンダードなイメージからかっこいい方向にシフトしているので、ずっと気になっていた。それは、わずかに低く見えるアーチライズ、透過性があって軽快な印象のアーチリブ、下部工と一体に…

そこら辺の絶景

新型コロナウイルスの影響で引きこもっている週末、なんとなく気持ちが前向きにならない。何冊も持ち帰った書籍を読もうとしても、数ページで集中力が切れてしまい、前に進めない。映画を鑑賞しようかと思ったが、そもそも選ぶ段階で挫折してしまった。こん…

時代をつくった橋

世界中の国がその往来を閉ざしているいま、ほんの3ヶ月前にイギリスに行ったことが、はるか昔の夢のように思えてくる。でも確かにブルネルの偉業を見てきたんだよな。 そのブルネルを含むイギリスの土木技術者は基本的に経験主義的な解き方をしており、その…

今が旬

もう10年近く前になるが、オランダ滞在時に有名な観光名所が改装中という事態に幾度となく見舞われた。それを繰り返すうちに、足場や養生シートで覆われた名所になんとなく反応するようになり、気がつくと写真で記録するようになっていた。 そんなこともあっ…

9年後の世界

2011(平成23)年3月11日午後2時46分、三陸沖で発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震によって、巨大津波や原発事故などを含む信じがたい規模の大災害が発生した。その被災に対して多くの人々のさまざまな努力が重ねられているが、9年を経た現在…

若手による設計

エイボン川の渓谷を跨いでブリストルの街を眼下に眺めるクリフトン吊橋は、156年前の1864年に完成した現役の車道橋。本当にすごいよねえ、僕も大興奮で徒歩と車の両方で渡ったよ。設計者はイザムバード・キングダム・ブルネル(Isambard Kingdom Brunel、180…

ブロックノイズ的立体構成

ダムの堤体が地山に接続する箇所は「フーチング」と呼ばれており、その様子は千差万別である。ダムの見どころはたくさんあるけれど、個人的には強く惹かれる箇所だ。覆土や緑化によってその存在を上手に隠しているものもあれば、全く無頓着で生々しいコンク…

芝浜高の立地

今年からはじまった日曜深夜のNHKのアニメーション作品「映像研には手を出すな!」に、すっかり夢中になっている。たまたま第2回の後半を観ていきなりググッと引き込まれ、これは観なきゃダメなやつだと確信した。毎回の放映で感動し、何度も録画を見直し、Y…

表現された機能

北上川の河口近くに、皿貝川への逆流と塩水の流入を防ぐ月浜第一水門がある。2006年に改築された姿は、しびれるほどにシャープで潔い。基本的に水平垂直の強烈な直線で構成されていて、わずかに現れる斜めのラインが効いている。 これって土木構造物にありが…

喫煙祭壇

昨年の夏、山口へ出張した際に街をうろついていたら、たまたまブルータルな雰囲気の建物の脇を通った。よく見てみると、山口市民会館と書かれている。回り込んでみると特徴的な階段が目に止まり、誘われるように登った。そのアプローチの先にあったのが、上…

伝説と廃墟と神秘

僕がティンタジェル城歩道橋をたっぷり体験できたことは、余裕を見込んだスケジュールが功を奏したとか、僕の日頃の行いが良いとか、朝の番組の占いがラッキーだったとか、たまたま晴れ男の効果が発揮されたとか、そんな話ではない。きっとこの奇跡的な体験…

イギリスの大偉人

イギリスの公共放送局であるBBCは2002年、「100名の偉大なイギリス人(100 Greatest Britons)」というランキングを発表した。その当時、僕のまわりがざわついたことをなんとなく憶えている。なにしろ、超有名人を押さえて第2位となった人物が土木技術者のイ…

廃墟に刺さる折鶴

ブリストルに宿泊した翌朝、再開発が進められているブリストル・テンプル・ミーズ駅の東側を、エイボン川に沿って少しだけ散策した。昨年完成したばかりというセント・フィリップス歩道橋(St. Philips Footbridge)を見るために。事前にたまたまチェックし…

ラッピング名所

ロンドンの象徴とも言えるウエストミンスター宮殿およびビッグ・ベンと呼ばれる時計塔は、現在絶賛大改修工事中。もちろん僕もその事実は知っていた。だからこそ、今回の旅でわざわざ立ち寄ってきた。なにしろ、みんなが知っているガイドブックの写真と同じ…

ティンタジェルへの旅

明けましておめでとうございます。 もともと弱い僕の記憶力は年が変わるたびに輪をかけてやばくなっている気がするけれど、10年以上も継続しているこのブログにはずいぶん助けられている。自分の外部に記録を残し続けることって、若い頃にはそんなに執着しな…

私的ドボク大賞2019

今年はロンドンで大晦日を迎えている。これまで溜め込んだマイレージをフル活用して往復の航空券を入手したので、食事や宿泊などのコスパが極めて悪いイギリスで散財しても、それほど気にならないというわけだ。過去に1度だけロンドンに来た時に、ドボクデザ…

遺跡をつなぐ橋

イギリス人が大好きなアーサー王の生誕地なんじゃないかと噂されている、コーンウォール地方のティンタジェル。浸食作用で中間部分が崩落したという13世紀のティンタンジェル城の遺跡を再びつなぐように、今年の夏、ローラン・ネイが手がけた新たな橋『ティ…

廃天井川という器

滋賀県の草津市に、江戸時代から引き継がれた都市内の天井川の跡地という、極めて特殊な環境に立地している帯状の公園がある。「de愛ひろば」と名付けられた公園は、中央部にいると両側が囲まれたスリバチ状の窪地なんだけど、両端部に行くと街を見下ろすこ…

山中の緊急災害復旧

津和野川に合流する名賀川。細長い島根県の、山口県との境界をなす山中を流れている。つまり、千葉から行くにはずいぶん手ごわい場所。その風景の第一印象は、しっとりと地域に馴染んでいるなあというものだった。ところがここは、2013年の豪雨によって甚大…

グランプリファイナル会場

まさに現在トリノで行われているフィギュアスケートのグランプリファイナルをテレビでチラ見して、この会場に行ったことがある気がした。確認してみると、たしかに2011年に訪れていた。たまたま脇の道を通った際に、シェル構造の屋根と赤い壁面が印象的だっ…

廃川を見上げる

豪快に鉄道を跨いでいる盛土が河川の堤防だったなんて、ちょっと信じがたいよね。 草津は江戸時代から東海道と中山道が合流する宿場町。その発展を支えた川が草津川なわけだが、どうやら尋常ではない量の土砂も供給されていたようだ。河床が上がると水害が発…