はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

東京の新しい視点

「東京建築祭」というイベントが2024年5月25日と26日の2日間を中心に開催された。ロンドンで開催されている「Open House London」や、大阪で開催されている「生きた建築ミュージアム大阪(イケフェス大阪)」と同じように、実際に使われている建築物が特別に…

砂糖の屋根

昨日は千葉港めぐりの観光船に乗った。その際に、製糖工場の三角屋根が話題になった。これって独特な形態だよね、粒状の物体を落としてできる円錐形の傾斜で決まっているんじゃないかな、きっと穀物サイロのような筒状の形態にはできない理由があるんだろう…

鉄道史の断片

群馬県と長野県の境にある碓氷峠は、古来より東日本と中日本の交通の要衝であり、難所だった。鉄道の整備においても、早期から日本の東西を結びつけて殖産進行を図るための国家プロジェクトとして、東海道線と並んで検討されてきたが、この地形に難儀してい…

壁に現れた痕跡

最近気になっている鉄道高架下の歩道を囲むコンクリート擁壁。ここにはさまざまな痕跡が積層して現れており、訪れるたびに新たな魅力が発見できる。 擁壁の天端に降った雨が描く縦ライン、壁面への落書きに上書きした塗料の重なり、生乾きのペンキが重力によ…

被災地メモ

先日射水市を訪れた晩は、富山に来たというのに訳あって広島風お好み焼きを食べた。その店のカウンターで隣にいた地元の方と楽しくお話しした際に、すぐ近くに地震による液状化の被害が出たエリアがあるということを伺ったので、翌日訪れることにした。 そこ…

内川再訪

先月の初め頃、富山県射水市に根ざしてまちづくりを実践している十年来の友人夫妻より、彼らの会社が運営している古民家一棟貸し宿に遊びに来ないかとお誘いいただいた。どうやら能登地震の影響で、富山の観光業もコロナ禍よりも深刻な状況になっている様子…

名建築

本日は強風が吹き荒れる晴天の中、珍しく目白方面を訪れた。事前に目的地へのルートをGoogleマップで確認していたところ、「東京カテドラル」の文字を見つけた。何十年も前から見に行かなきゃと思っていたのに、なぜかその一線を越えていなかった大傑作。こ…

趣味としての写真

昨年末、思いつきでカメラを新調した。これまでずっとマイクロフォーサーズという規格のカメラを使ってきたのだが、センサーサイズが大きいフルサイズのカメラを買ってみたのだ。思いつきにしては大散財だったが、自分の中のなにかが切り替わった気がしてい…

寝正月日記

本年元日に発生した能登半島地震で被災されているみなさま、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。特異な地理地形に起因する困難な状況の中で、救出や支援に従事されているみなさま、ご安全に活動できるようお祈り申し上げます。収束どころか被害の全貌…

私的ドボク大賞2023

今年はブログ記事が極端に少なかった。コロナ禍の余波で、ここ数年は出張や旅行が激減している。つまり、インプットの機会が少ない状況が続いている。そのため、風景を読み取る感度は弱体化し、アウトプットに向き合うエネルギーも枯渇しがちだったように思…

岩の教会

ヘルシンキの街中の地形は、想像していたよりも緩やかな起伏に富んでいた。そして、そこかしこで岩盤が露出している状況を見かけた。住宅地の中とか、公園の中とか、道路脇とかに忽然と現れる岩肌には、少々ギョッとした。調べたわけではないが、街全体がと…

街路からのまちづくり

先日、3年ぶりに松山に出張してきた。その際に、偶然通って気になった「ロープウェイ街」を再訪した。この街路は、2006年に再整備されたもの。電線類の地中化、バリアフリー化、スラローム線形の導入などとともに、2 車線を1車線に減らし、自転車道を設けて…

なんと、ドラマ化

拙著『日常の絶景』が、テレビ東京によりドラマ化された。本書を知る人は「なんで?」「どうやって?」と訝しんだことだろう。もちろん、僕も含めて。登場人物やストーリーなどは一切ないし、世間的にはマイナーで素っ気ない対象を扱っているし、妄想を含め…

アアルトの家

フィンランドを代表する建築家でありデザイナーのアルヴァ・アアルトは、建築、家具、日用品など、数々の著名な作品を残している。僕も含めてデザインに関わる者は、その足跡にさまざまな場面で何度も出くわす。せっかくヘルシンキに行くということで、郊外…

グリーンランド上空にて

羽田とヘルシンキを結ぶ便は、行きも帰りも北回りルートだった。言うまでもなく、現在はロシアの上空を迂回して、距離的にも時間的にも遠回りせざるを得ない。もしかして帰りは南回りになって、世界一周ができるんじゃないかなと期待を込めて思っていたのだ…

夏の旅の大団円

この夏は、およそ3年半ぶりに海外旅行に行ってきた。行き先はフィンランドのヘルシンキとエストニアのタリン。コロナや円安や戦争などの影響で跳ね上がっている渡航費を少しでも浮かせるべく、貯まっていたマイレージでお得な航空券を半年以上前にゲットした…

キノアト

中古車販売会社の店舗前に限り、街路樹や植栽が枯れたり、伐採されたりしているという。もし事実であれば、とんでもないことである。公共の財産を私的な目的でなきものにするという事態、完全に常軌を逸している。関係各位には厳正な対処をお願いしたい。 そ…

国宝橋

たいへんめでたいことに、先日、熊本県山都町に架かる国内最大級の石造アーチ橋である「通潤橋」が、国の文化審議会で国宝に指定するよう答申された。橋という土木構造物が国宝に指定されるのは、はじめてのことだという。そうか、これまで橋は国の宝として…

超巨大写真

少し前に札幌に行った際、改修工事中の北海道庁・赤れんが庁舎の脇を通りがかり、一瞬ドキッとした。完成はまだまだ先のはずなのに、その姿がバッチリ見えると。二度見すると、写真を転写したシートで覆われているではないか。もちろん実物の佇まいからはほ…

建物を受け入れたため池

大阪の隣町、松原市の文化施設が集まるエリアの一角に、ブルータルな建物が水面に浮かぶ池がある。この建物は「読書の森」と称される松原市民松原図書館である。外壁は傾斜のある面で構成され、その不定型な姿は不思議なことに威圧感を感じさせない。赤みを…

浸食の供養

今年の大型連休における人出の傾向は「安近短」と言われているが、僕もその通りの行動を取り、土日に車で銚子を訪問した。あいにく日曜日に雨に降られたので、土曜日のうちに見たいものを詰め込んだ行程にした。 銚子旅行の主目的は、屏風ヶ浦の鑑賞。下総台…

封印補強

数年前に見た耐震補強。筋交いのあるフレームのユニットが単独で壁に貼り付いている。このような形で存在しているのは珍しい気がする。詳しい方に解説願いたいところだ。 その姿をじっと見ていると、通行を拒む門が宙に浮いているように見えてくる。もしかす…

精緻な隊列

矩形の脚が6方向に突き出た消波ブロックによる離岸堤。見事にビシッとしている。海上で施工するのだろうけど、よくぞこんなにも緻密に積層したものだと感心する。荒天時にはものすごく大きな波圧が離岸堤に加わり、せっかくの配列が乱れてしまうような気が…

橋をデザインする

橋の設計に携わる若い読者を想定した「橋をデザインする」という本が出版された。橋の設計を多角的に捉えながら「コンセプチュアルデザイン」という視座を獲得していただくために、さまざまな角度から実際の橋の設計事例をたくさん取り上げて、その設計思想…

地獄と極楽

彼方と此方の境界についてぼんやり考えていたら、数年前の下北出張の際に訪れた霊場恐山のことを思い出した。かなりインパクトのある景観体験だったのに、ブログには残していなかったんだなあ。 恐山固有の景観は、火山活動によってつくり出されてきた。あた…

海岸のクローン兵

日本は海に囲まれた島国である。しかも、結構ひょろ長い。このため、国土の外周全体が津波、高潮、波浪といったジオスケールの自然現象に晒され、海岸線の浸食、砂浜の消失、交通の分断、家屋の流失、人命の喪失などの被害が古来より延々と繰り返されている…

暗渠に架かる橋

このたび「暗橋(あんきょう)」という概念が開発された。地下に追いやられた川や水路、いわゆる「暗渠」に架かる、あるいは架かっていた橋のことだ。親柱や高欄の一部が残されていケースもあれば、橋の名前が交差点名などに残されているケースもある。この…

新幹線の代替策

渦潮で有名な鳴門海峡を跨いで淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋は、1985(昭和60)年に開通した長大吊橋だ。当初は本州と四国を結ぶ新幹線が計画されていたことから、大鳴門橋の補剛桁の中央部は新幹線が通れる設計になっているという。その後いろいろとあったの…

ホンモノになりたい

芸術や技術などの創造的行為において、自然の成り立ちや他者の技能を体験的に模倣することは極めて重要な意義がある。模倣を繰り返すことで良質の学びを得るのだ。そう考えると、丸太風の外観をまとったコンクリート製水飲み場も、模倣によって新たな価値を…

スタジアムツアー

先日、不定期開催されている「国立競技場スタジアムツアー」にほとんど思いつきで参加してみた。これがとても面白くて、テンションが爆上がりになった。これまで何度もテレビで目にした空間に、自分がひょっこり紛れ込むという不思議な体験は、とてもワクワ…