都市
またまた古いフィルム写真から。1999年にパリを訪れた際には、供用を目前に控えて静的載荷試験中だったレオポール・セダール・サンゴール橋(当時の名称はソルフェリーノ橋)を訪問した。それは、設計者のマルク・ミムラム氏に現場で解説していただくという…
僕が学生だった1990年頃、幕張新都心はまっさらな埋立地に突然たくさんの高層建築が生えた、不思議な街だった。その頃はまだ居住区が整備されておらず、そこかしこに空地が目立つ状況だったように思う。自分の卒論では、キロの単位で視距が確保できたこのエ…
多治見駅北口にある「虎渓用水広場」は、一般的な駅前広場のイメージとはかけ離れた、常に水音が響く豊かな空間がある。わかる人にしか伝わらないだろうが、「あつまれ どうぶつの森」の良く出来た島のような、のんびりとしたイメージ。春にここを訪問した際…
ロンドンのセント・パンクラス駅とキングスクロス駅に近接し、1820年に開通したリージェンツ運河の北岸にある「コール・ドロップス・ヤード」というショッピング・モール。その名の通り、鉄道と運河を結びつけて石炭を積み降ろすことで産業革命を支え続けた…
昨日、自動車に支配された地上のレイヤーと、そこから追いやられた歩行者のレイヤーについて、ものすごくぼんやりと考えていた。 きっかけは、札幌の地下。ここは歩行者が追いやられたわけではなく、積雪寒冷地ならではの解決策なんだよなあと思ったところで…
東京は「レイヤード・シティ」と表現してもいいんじゃないかとずいぶん前から思い込んでいるわけだが、KITTEの屋上庭園にふらりと立ち寄った際にその思いを強く抱いた。ちょうど、東京の運河クルーズでの体験と同じような印象と言えばいいだろうか。スケール…
3月に広島に出張した際に、ずいぶん前から「いつか見に行くリスト」に入れていた「スカイレール」を、ようやく体験できた。噂に違わず、血湧き肉躍る唯一無二の新交通システムだった。なにしろ懸垂式モノレールなのかロープウェイなのかゴンドラなのかケーブ…
今日は駐車場に関する文章を書いていたのだが、すっかり迷走してしまった。駐車場って現代の都市において極めて重要な役割を担っているのに、不当に低く扱われているんじゃないかと憤慨しはじめたのだ。 駅とか空港などの交通モードが切り替わる場所って、そ…
滋賀県の草津市に、江戸時代から引き継がれた都市内の天井川の跡地という、極めて特殊な環境に立地している帯状の公園がある。「de愛ひろば」と名付けられた公園は、中央部にいると両側が囲まれたスリバチ状の窪地なんだけど、両端部に行くと街を見下ろすこ…
昨年の3月、大手町と神田の間に「竜閑さくら橋」という歩道橋が架けられた。昭和につくられた首都高の間を抜けて、大正につくられた鉄道橋に近接しつつ、江戸につくられた日本橋川を跨ぐという、超絶複雑な都市環境を明快にクリアしていることは本当にすごい…
今日がベルリンの壁崩壊から30年という記念日であることを先ほど知った。もうそんなに経ったのかという気持ちと、まだ30年しか経っていないのかという気持ちと、どちらもある。振り返ってみると、この日を境に世界が動いたことは間違いなさそうだ。 僕がベル…
三島市街地を貫流する源兵衛川。いろんな賞を受賞している有名物件なので、ずいぶん前から見に行かなきゃと思っていたのだが、1ヶ月ほど前にようやく実行した。大きな声では言いにくいが、ここの写真や論評などはチラホラ見ていたのに、どこかピンときていな…
あけましておめでとうございます。本年も本ブログを生暖かく見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。僕は新年早々、休暇をフル利用して海外逃亡しており、スペイン北部のバスク地方とリオハ地方を巡っている最中です。まあ自慢なわけですが…
先週の日曜日、とある学生コンペの審査をするために仙台の東北大学に行ってきた。せっかくの機会なので、個人的に延泊して翌日に市内散策したいと思っていたのだが、その行程は全く考えていなかった。このため、懇親会の席で仲良くなった東北大の学生に「仙…
ときどき、自分の意思とは無関係にセレクトされた地方都市に出張に行くことがある。そんな時には、まち歩きのトレーニングをする機会だと捉えて、現地のことを事前に調べずに乗り込むようにしている。 少し前には、長野市に行ってきた。用務の隙間に1時間ほ…
上海で未来の街を見てきた。あのザハ・ハディドが手がけた、巨大オフィスビル群「凌空SOHO」だ。あまりにも強烈なクセを有するこの空間は、あの手この手でケチをつけようとする人も極めて多いだろう。自分の理解を超えるものに対しては、どうしても警戒しち…
ついに念願を果たした。遅まきながら、年末にヴッパータール空中鉄道をたっぷり体験してきたのだ。湘南モノレールのWEBマガジン「ソラdeブラーン」の執筆陣としては、佐藤淳一さん、西村まさゆきさんに続く3人目ということになるだろうか。かつて佐藤さんよ…
9月の出張でたまたま見かけた「土浦ニューウェイ」の高架橋の造形はとてもレベルが高く、桁と橋脚の連続性やアールの取り方などのおさまりがたいへん素晴らしい印象だった。それはさておき、翌月にすぐさま再訪したほど違和感のインパクトがすごかった。そ…
つくば市にある「吾妻バス停」がすごかった。まるで露天掘りの採石場の底にいるような、コンクリートの垂直壁で囲まれた圧迫感に満ちた半地下空間。たいへん魅力的だし実際にテンションが上がりっぱなしだったのだけど、一般的には不人気なのかもしれない。…
水戸出張の翌日は土浦に移動し、無事に用務が終わった。帰りの電車まで少し時間が確保できたので、まち歩きを開始した。ところが、前日の慣れない革靴とスーツによるダメージは大きく、比較的早々にへこたれた。体調も体勢も整っていない状態では、見えるも…
先週末は用務があって水戸に出張してきた。僕が住む千葉からは微妙に近くて遠いので、行く機会がありそうでほとんどなかったし、イメージもありそうでほとんどなかった街だ。このため、駅前に降り立ったときには衝撃を受けた。なんでかって言うと、地形の変…
先日、湘南モノレールを体験してきた。乗るのも見るのもあまりにも楽しかったために、終点の「湘南江の島駅」まで行ったにもかかわらず、夏の海を体験することをすっかり忘れてしまった。 千葉都市モノレールと同様の軌道から車両を吊す「懸垂式」なのだが、…
前回エントリの投稿後、学生時代に撮影した膨大な調査写真をずいぶん前に当時在籍していた研究室から引き上げたようなことを思い出して、職場の棚の最上部に押し込んである段ボール箱に手を突っ込んでみた。すると驚いたことに、「アクアポリス」の写真があ…
市電に乗って熊本の交通センター(バスターミナル)の脇を通ったところ、あたかも熱気に包まれたフェスが行われていると錯覚するほど、数多くのクレーンやパイルドライバがじゃんじゃん稼働していた。そりゃもう、かっこよさにしびれるよねえ。その時は別の…
1ヶ月ほど前だったろうか。自宅の最寄駅のロータリーに隣接した一角が更地になっていた。生命保険の会社のビルだったと思うのだが、どんなビルだったか全く憶えていない。 日本において、多くの人に利用されている駅前の風景は、更新し続けているように思う…
日本の古都・京都には、1890(明治23)年につくられた琵琶湖の水を市内に運ぶための壮大な規模の水路があり、今も現役の施設として市民生活の中に溶け込んでいる。明治維新によって首都機能が東京に移ったことで、当時の京都は著しく衰退しはじめていた。そ…
タンジョン・パガー・コンテナ・ターミナルのあの感動を再び味わいたくて、2年半ぶりにシンガポールを訪れている。そのターミナルを一望できる高層高級住宅を訪問したのだが、窓の外を見るなり腰が抜けた。なんと、広大な敷地がほぼ空っぽなのだ。色とりどり…
国家や都市のバックヤードを担っている港湾って、グローバル化とともにその規模が大きくなるに従って、どんどん市民生活から離れていき、リアリティを失ってきているように思う。それは、様々な形態の貨物を合理的に大量運搬可能にした「コンテナ」という物…
11月24日までに、急いで新宿駅西口広場イベントコーナーに行こう。土木学会「土木コレクション2016」と、東京都建設局「橋と土木展」が同時開催されているので。土木の展示としては王道である「技術を丁寧に伝える」という雰囲気の中で異彩を放っているのが…
2010年に開業した4代目旭川駅。これまでも何度か訪れているけれど、今回ははじめて夜景を堪能した。しかも、11月上旬なのに適度に雪が積もった冬景色で。 昼間ははっきり認識できない特徴的な形状の柱が、ガラスのカーテンウォール越しにくっきり見えて、そ…