はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

メモ

世界の設定

小説、演劇、映画、ゲームといった創作物では、その世界観を構成する要素のパラメーターを、創造主がルールとして設定している。例えば、主人公の性格の形成要因とか、物体に作用する重力のありようとか、ドラゴンの生育環境とか。その設定が強固でなければ…

オリンピックの思い出

ミュンヘンのオリンピックタワーから見下ろすと、フライ・オットーが手がけたユニークな吊り屋根が点在するオリンピアパークはもちろん、広々とした緑地や選手村をベースとした団地、さらにはBMWの本社やミュージアムなどが一望できる。オリンピックが都市に…

名称表記問題

海外の土木構造物を紹介する場面では、名称表記問題にたびたび直面する。現地語と英語のどちらを採用するか、アルファベットとカタカナのどちらを採用するか、正式名称と通称や俗称のいずれの表記を採用するか。そもそも参照する資料によって名称が異なり、…

橋梁デザイナー

今夜放送されたテレビ東京「新美の巨人たち」に、橋梁デザイナーという立場の方が取り上げられた。エムアンドエムデザイン事務所の大野美代子さんだ。僕にとっては極めて大きな存在の方で、以前何度かお会いする機会に恵まれたのだが、たいへん残念なことに5…

サイバーパンク景観

『サイバーパンク 2077』というゲームが発売は昨年12月に発売された。信じがたいほどにつくりこまれた世界観とグラフィックは、極めて魅力的。しかし、暴力的なアクション成分が高そうなために、怖じ気づいた僕はプレイしていない。 そもそもサイバーパンク…

エンジニアリングとデザイン

エンジニアリングとデザインの世界をざっくり分けて見た場合、どちらにも中途半端に足を突っ込んだことがある立場としては、基本理念というかアプローチが違うと感じることが多々ある。それはその人が受けてきた基礎教育の方向性に起因しているのではないか…

林檎教への入信

現在僕は、Apple社の製品およびサービスを全面的に受け入れる体勢、つまり、アップル信者になる準備を進めている。 僕のMac歴はそこそこ長く、1990年代前半から使うようになり、有名なボンダイブルーのiMacは1998年の発売初日に入手した。仕事の都合でWindow…

私的ドボク大賞2020

多くの人と同様、今年は僕にとっても極めて特殊だった。自他ともに雰囲気で取り繕ってきた「常識」のようなものがボロボロと崩れ去っていく様子を目の当たりにし、さまざまな面で本質的な見直しを迫られるようになった気がする。刷新できる環境はさっさと変…

よいデザイン

先月88歳で死去したテレンス・コンラン卿が設立し、2016年に現在の場所に移転したロンドンのデザインミュージアム。その常設展「Designer Maker User」の入口に、「CROWDSOURCED WALL」という壁面がある。そこには、さまざまなジャンルを跨ぐ小物が、所狭し…

配達が切り拓く世界

スイスアルプスの峠を越える送電線の写真を、あれこれ編集してみた。「デス・ストランディング」というゲームの感動的で示唆的な仮想世界を、少しでも自分の実体験に近づけようとして。この送電線を見たときにも、隔てられた世界が「つながっている」ことに…

今年の夏

なぜか、8月が終わりかけている。毎日たっぷり暑さを感じてはいるものの、夏の実感はまるでない。しばらく休日らしい休日を過ごしていないことも大きな要因だろうが、ほとんど外に出ない生活によって、インプットとアウトプットのバランスがくずれているこ…

街角の間にあるもの

この夏、ついに三土たつおさんの編著『街角図鑑』の続編が登場する。その名も『街角図鑑 街と境界編』だ。4年前に登場した前作は、新たな街の見方がてんこ盛りで、謎の興奮が凝縮された本だった。本作ではそれがしっかり継続されているだけでなく、スケール…

大型連休の過ごし方

「STAY HOME週間」はなぜ「STAY HOME WEEK」や「自宅待機週間」ではないのだろうという疑問はさておき、この大型連休を家で過ごすためになにをするかを考えることは、たいへん重要なテーマだ。まあ僕の場合はこの週間に、慣れないリモート講義に使う動画の制…

世界の見方の拡張

文化は人と人との接触から生まれる。ところが現在、その関係を断つことを迫られ、他者に対して疑心暗鬼となり、得も言われぬ重苦しい空気があたりを覆っている。生命や経済の危機に際しては、文化という価値などはじめからなかったような雰囲気すらある。し…

そこら辺の絶景

新型コロナウイルスの影響で引きこもっている週末、なんとなく気持ちが前向きにならない。何冊も持ち帰った書籍を読もうとしても、数ページで集中力が切れてしまい、前に進めない。映画を鑑賞しようかと思ったが、そもそも選ぶ段階で挫折してしまった。こん…

9年後の世界

2011(平成23)年3月11日午後2時46分、三陸沖で発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震によって、巨大津波や原発事故などを含む信じがたい規模の大災害が発生した。その被災に対して多くの人々のさまざまな努力が重ねられているが、9年を経た現在…

芝浜高の立地

今年からはじまった日曜深夜のNHKのアニメーション作品「映像研には手を出すな!」に、すっかり夢中になっている。たまたま第2回の後半を観ていきなりググッと引き込まれ、これは観なきゃダメなやつだと確信した。毎回の放映で感動し、何度も録画を見直し、Y…

ティンタジェルへの旅

明けましておめでとうございます。 もともと弱い僕の記憶力は年が変わるたびに輪をかけてやばくなっている気がするけれど、10年以上も継続しているこのブログにはずいぶん助けられている。自分の外部に記録を残し続けることって、若い頃にはそんなに執着しな…

私的ドボク大賞2019

今年はロンドンで大晦日を迎えている。これまで溜め込んだマイレージをフル活用して往復の航空券を入手したので、食事や宿泊などのコスパが極めて悪いイギリスで散財しても、それほど気にならないというわけだ。過去に1度だけロンドンに来た時に、ドボクデザ…

日蘭が接続する風景

昨日はオランダの写真家ルーク・クラメール氏の講演会に参加してきた。本当に偶然なのだが、数ヶ月前にクラメール氏の写真にすっかり魅了されて、写真集「Waterworks in the Netherlands」を購入したばかり。どこまでも平坦で拠り所がつかみにくいオランダの…

火災映像

首里城には何度も行っていた気になっていたのだが、最近の沖縄訪問では外側から見ただけだった。特に2013年の沖縄日帰りツアーでは、開場時間にギリギリ間に合わず、本殿を入口から眺めただけだった。今となっては、もう一度しっかり見学したかったなあと後…

埋立地の記憶

埋立地にずらりと並ぶ巨大団地と、豪雨で増水した夏は透明だったであろう緑色のプール。その水面にはラジコンの船が悠々と走っている。なんともシュールなシーンだが、いろんな思いを巡らせることができる、実に深みがある風景なのだ。 昨日は「思い出のこじ…

災害列島の心得

つい先週に控えると書いたばかりなのだが、毎年のように発生している豪雨災害がどうしても気になってしまったので、またしても飛行機からの写真を。 昨年の今頃に発生した西日本豪雨からおよそ3週間後に九州方面に行った際、堤防の決壊によって極めて大きな…

重大な地図情報

ついに念願の地図が!! 一部の方からご要望をいただいていた、というか、僕自身がずっと欲しかった「はちまドボク地図」をオープンするに至った。これは本ブログの記事の位置を示したGoogleマイマップ。こんな地図があったらいいなあと今週はじめにツイート…

モダニズムの生い立ち

先週まで国立西洋美術館で行われていた「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」は、大型連休の終盤にようやく行くことができた。その内容はモダニズム建築を代表するル・コルビュジエ(シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)が描いた絵画を軸…

偉大な業績からの

先週、中国生まれのアメリカ人建築家であるイオ・ミン・ペイが亡くなった。なんと102歳だったそうな。彼が手がけた建築は、ルーブル美術館のメイン・エントランスになっているガラスのピラミッドが最も有名かもしれない。というか、活動の中心だったアメリカ…

秩序の中の自由意志

ニューデリーで出会った衝撃的な室外機コレクション。グリッド状に整えられたブルータル建築のファサードに、室外機が自由奔放に配置されている。よく見ると窓枠や塗装もオリジナリティに溢れているではないか。その様相は、まるでユーザーの使いこなし方の…

喪失感

パリのノートルダム大聖堂で火災が発生し、尖塔や屋根が焼失するというショッキングなニュースとともに、本日の朝を迎えた。人類の至宝が大きく傷ついたことについては、宗教や国が異なるとしても、僕も含めた世界中の人々がなんとも言えない大きな喪失感を…

インド

インドという国は、人生観が変わって何度も行きたくなる人か、衛生面や喧噪が全く受け入れられず二度と行きたくなくなる人に二分されるという話を、何度となく聞いていた。その国に、はじめて行ってきた。国際交流基金ニューデリー日本文化センターにて開催…

追悼

今回はいつにも増して、極めて個人的なお話。 ーーーーー ドイツのケンプテンを拠点に活躍していた構造エンジニアで、個人的にも親しい友人だった増渕基さんが、先週の3月5日に急逝しました。残されたご家族のご心痛をお察し申し上げ、ご冥福をお祈り申し上…