はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

公園

鎮魂の軸線

10月に気仙沼へ取材に行った際、どうしても行きたかった陸前高田の高田松原津波復興祈念公園にも足を伸ばした。最初の訪問時は高台造成のためのベルトコンベアが張り巡らされており、前回は施設のオープン直前だったので、ようやく落ち着いた状態を体験しに…

駅前の居場所

多治見駅北口にある「虎渓用水広場」は、一般的な駅前広場のイメージとはかけ離れた、常に水音が響く豊かな空間がある。わかる人にしか伝わらないだろうが、「あつまれ どうぶつの森」の良く出来た島のような、のんびりとしたイメージ。春にここを訪問した際…

廃天井川という器

滋賀県の草津市に、江戸時代から引き継がれた都市内の天井川の跡地という、極めて特殊な環境に立地している帯状の公園がある。「de愛ひろば」と名付けられた公園は、中央部にいると両側が囲まれたスリバチ状の窪地なんだけど、両端部に行くと街を見下ろすこ…

復元された意思

札幌のモエレ沼公園は、彫刻家のイサム・ノグチがマスタープランを行なったことはよく知られている。イサムは1988年3月に初めて札幌に招かれ、まだゴミの埋め立てが行われていた現場を見るなり気に入り、早速仕事に取りかかったらしい。ところが、なんと同年…

段差がある水辺

すでに埋め立てられた立売堀が木津川に接続していた場所にある「トコトコダンダン」は、直線的でクールな造形なので、少し取っつきにくい印象があるかもしれない。でも実際に空間を体験すると、とても心地よい。その源泉には、視点の高さの変化による豊かな…

ヘックス風車

岡山の鏡野町を移動している最中、トンネルの直上に不穏な構造物を目撃した。それがなにかは全くわからなかったのだが、用務を終えてから勇気を出して立ち寄ってみた。案内などはほとんどなく戸惑いながらたどり着いた場所は、ローラー滑り台、ターザンロー…

水との距離

数日前にある方からオランダの水との関わりについての参考図書を求められ、自室にある関連書籍をざっくりチェックし直した。久しぶりに『Dutch Dikes』などのすてきな書籍に触れて、すっかりオランダに行きたい気持ちが高まってきてしまった。なんだろうこの…

生活の中の高速道路

交通手段の速度が上がるにつれて、道路は必然的に人の生活との関わり合いが減っていく。両者の時間と空間のスケールは、どうしても乖離する方向に行くからね。ところが、関わり合いをなくす努力をした結果、一周回って高速道路を人の生活に取り込んじゃった…

コロッセオ

大橋ジャンクションのループの内側は、首都高の管理施設や換気塔の他に、目黒区が管理している「オーパス夢ひろば」という多目的スペースがある。4層ループの巨大な壁面に囲まれているだけに、アーチダムの下流面も似た、とても魅力的な空間が形成されている…

空中庭園

大橋ジャンクションは施工時に3度ほど見学させていただいたのだが、完成後にじっくり見たのは本日が最初。正確には先月はじめにチラリと下見したんだけど。このジャンクション、道路とその付帯設備の他に、2つの高層ビルの中に住居の他にも商業施設、事務所…

遺跡の見せ方

夏のアルプスツアーの目的のひとつに、Marte.Marte Architektenによる橋があった。調べているうちに、どうやらローマ時代の遺跡を絡めた「Freilichtmuseum Römervilla」なる耐候性鋼板でつくられたモニュメントがヒットしたので、ついでに見に行ってきた。こ…

三国国境

なんともビシッとしていない石碑を境に、左奥がオランダ、右の林がドイツ、手前がベルギーに分かれている。「B」の文字が見えることがその証左。「1032」の意味は知らないが、見えない側にはやはり素っ気なく「NL」「D」と書かれているよ。なお、写真左奥に…

橋マニア疑惑

昨日、職場に出入りしている本屋さんから、カルロ・スカルパの作品集を勧められ、あっさり購入した。つい先ほども休日出勤の疲れを癒やそうとニヤニヤ眺めていた。やっぱり僕は大好きだなあ、スカルパの空間構成や素材の扱いやディテールの造形が。 前にも書…

モーゼの奇跡の顛末

僕が2011年にオランダを離れてすぐに話題になった(ArchDiaryの記事)濠の水面の下を歩く体験ができるという「モーゼ橋(Moses Bridge)」を観るために、西ブラバント・ウォーター・ラインのFort Roovereという稜堡を訪問した。なんで僕が住んでいるときに完…

ドボク遊具

新潟県妙高市にある「万内川砂防公園」に、強烈な魅力を放つ遊具があった。砂防堰堤の水通しを模したと思われるジャングルジム複合すべり台だ。ここでドボク情操教育を受けて育ったこどもたちは、きっと日本の国土全体を俯瞰的に捉えられるようになるだろう…

景観公園

4年前に撮った写真をあらためて見返しても、ルール地方のデュイスブルクにある「ランドシャフトパーク」はすごい。日本語で言うと、「景観公園」だ。ここは1985年に操業を停止したテュッセン製鉄所の遺構を利用している公園で、斜め上を行く様々な施設が盛…

本当に純粋な階段

現在千葉市美術館で行われている『赤瀬川原平の芸術原論展』(会期:2014年10月28日~ 12月23日、オフィシャルサイト:こちら)は、必ず行くべき展覧会だよ。開催の「前日」に訃報に接したときは、そのニュースすら作品の一部なのでは?と思ってしまったが、…

砂防ランド

長野北部方面を訪問する際、休憩がてらチラッと寄り道ができるところを探していたら、新潟県の妙高市に「万内川砂防公園」という情報を見つけたので、なにはともあれ行ってみた。これが予想をはるかに超える素晴らしい場所だった。大正から現在までに整備さ…

広場の変遷

昨晩、おそらく10数年ぶりに映画「ニュー・シネマ・パラダイス」(完全オリジナル版)を鑑賞した。シチリアの小さな村を舞台に、やがて映画監督として大成するけれど人としての出来はいまひとつなトトの成長が丁寧に描かれている映画である。エンニオ・モリ…

水の砦の現在

オランダは海抜より低い土地が国土の4分の1もの面積を占めているらしい(どの説が本当なのか未確認)。この環境のために発達した特異な防衛システムが「ウォーターライン」というもの。いざというときに水門を開放して土地を水浸しにすることで外敵の侵入…

ピカピカ高炉

ようやく北九州市にある「東田第一高炉史跡広場」に行ってきた。日本の製鉄黎明期を支えた高炉が、記念碑として保存されている希有な事例である。 以前よりこの存在は知っていたのだが、いまひとつ見に行く気になれなかった。なぜなら、すべてがきれいに塗装…

みなみあいきちゃん

南相木ダムは、色白でプロポーションの良い、若さ溢れるアイドルである。名前もそれっぽいし。しかも、なんだかエキゾチックで謎めいた魅力も漂わせていて、思わず将来が楽しみになる超大物の雰囲気を振りまいているんだよね。 ダム下流は「ウズマク広場」と…

浮かれ武甲山

ふと気がつくと、1泊2日で秩父方面のダムを巡ったゴールデンウィークから、もはや3ヶ月も経過している。すっかり老け込んでしまったのであろうか、このところの時間の流れの速さには驚くばかりである。いや、本当に驚くべきは、せっかく素敵なものをたく…

ネガティブマウンド

このところ採石場ネタが続いているので、さらにもうひとつ。 先月札幌に出張に行った際、「石山緑地」という採石場の跡地を活用した公園に行ってきた。もう15年くらい前になると思うが、はじめて訪れたときには、すごく感激した記憶がある。特に露岩した切羽…

鋼列柱

トリノのある教会を見るために中心部から北西方向にトラムで行ってみるたのだけど、周辺の状況はまったく調べて行かなかったので、そこに広がる光景はまったく想像していないものだった。 錆止め色の柱が果てしなく広がっている公園は、とても印象的な空間が…

建築ランド

ドイツのヴァイル・アム・ラインというスイスとフランスに接している街に、デザイナーズチェアの生産で有名なヴィトラ社の工場がある。ここは有名建築家の作品がごろごろしている建築マニア垂涎の建築テーマパークになっている。建築に疎い僕でも十分面白か…

巨大重機祭り

大事なことを書き漏らしていたことに気付いた。1ヶ月以上前のことになるが、デッサウへ行ったのはバウハウスの見学のためと見せかけていたのだけど、真の目的は「フェロポリス」を訪れることだった。 ここは、かつて露天掘り炭鉱だった場所を産業テーマパー…

森の中の空中回廊

ヨルグ・シュライヒが設計したシュトゥットガルトにあるケーブルネット構造のLodzer歩道橋は、アプローチ部分も素晴らしい。ここを歩くと、まるで森の木々の間を浮遊しているような不思議体験が得られる。 結構な高低差を長い延長のスロープでつなぐために線…

ツォルフェアアインの多様性

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱はかなり広い上に、様々なコンテンツが詰め込まれているので、しっかり満喫するには丸1日かかるよ。こちらの案内図(pdfファイル)を見ていただくとわかるように、大きく3つのエリアに分けられている。 メインは赤で示され…

親しまれる工場

ドイツのデュイスブルクにあるランドシャフトパーク(Das Otterhaus 【カワウソ舎】:ランドシャフトパーク)に行ってきた。先日訪れたフェルクリンゲンと同じように、閉鎖した製鉄所を保存・活用した有名な事例。この2つを今月立て続けに体験してきたので…