はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

道路

路面に浮かび上がる地域性

今月の初旬、20年前まで住んでいた札幌を訪問した。いまでも毎年のように訪れているが、いつしか「帰る」という気分は薄れてしまい、すっかり出張に「行く」場所になっている。 関東では朝から半袖がちょうど良い初夏の陽気だったが、小雨が降る札幌の街に到…

街路からのまちづくり

先日、3年ぶりに松山に出張してきた。その際に、偶然通って気になった「ロープウェイ街」を再訪した。この街路は、2006年に再整備されたもの。電線類の地中化、バリアフリー化、スラローム線形の導入などとともに、2 車線を1車線に減らし、自転車道を設けて…

階段国道

車が通れない「階段」なのに「国道」。そんな道が竜飛崎にあることを、友人の松波さんが書いた『国道の謎』という本で十数年前に知り、いつか訪ねてみたいと思っていた。それがようやく今年の夏の旅行で実現した。青森県のウェブ情報によると、全長388.2m、…

職人の筆さばき

ビルバオの横断歩道はとてもユニークだった。おそらく滑り止めとして、道路標示の上に凹凸がつけられているのだが、その文様がことごとくオリジナリティに溢れているのだ。道路標示の職人さんの気質や気分が色濃く反映されているのだろう。ぬかったことに、…

みっちりジャンクション

上海の延安高架路と南北高架路が交差するとてつもなく高密度なジャンクション。名前は少し調べただけでは出てこなかった。中心には龍のレリーフをまとった橋脚が様々な方向に腕を出して、あたかも曲芸のように4層に重なる桁を支持している。どこに目をやれば…

計画の慣性

9月の出張でたまたま見かけた「土浦ニューウェイ」の高架橋の造形はとてもレベルが高く、桁と橋脚の連続性やアールの取り方などのおさまりがたいへん素晴らしい印象だった。それはさておき、翌月にすぐさま再訪したほど違和感のインパクトがすごかった。そ…

あとからトンネル

先日、打合せの最中に2011年の写真を遡っていたら、ドイツのアウトバーンで撮った写真が視界に入り、気にかかった。アーチ状のコンクリートの梁が、両側の壁からポコッと生えた出っ張りに載せられて、結構な延長にわたって連続して道路を横断している施工中…

竪穴式バス停留所

つくば市にある「吾妻バス停」がすごかった。まるで露天掘りの採石場の底にいるような、コンクリートの垂直壁で囲まれた圧迫感に満ちた半地下空間。たいへん魅力的だし実際にテンションが上がりっぱなしだったのだけど、一般的には不人気なのかもしれない。…

不思議な高架道路

水戸出張の翌日は土浦に移動し、無事に用務が終わった。帰りの電車まで少し時間が確保できたので、まち歩きを開始した。ところが、前日の慣れない革靴とスーツによるダメージは大きく、比較的早々にへこたれた。体調も体勢も整っていない状態では、見えるも…

絶景シークエンス

沖縄本島南部の南城市の高台から海岸までを一気に下るS字カーブは、絶景ポイントとしてネット上で多数取り上げられていた。「ニライ橋」と「カナイ橋」で構成される道路景観は、自衛隊の用地同士を結ぶ通路上から展望することができた。 もちろんその眺望に…

アルプスの道

オーストリアの狭隘な谷をレンタカーで走ったとき、いやこれムリ!って思った。だって、素掘りトンネルの断面にぴったりサイズのバスが、それほど速度を落とさずにずんずん走ってくるんだよ。恐怖を越える感動を味わうことができたな。 この写真は、Schanerl…

生活の中の高速道路

交通手段の速度が上がるにつれて、道路は必然的に人の生活との関わり合いが減っていく。両者の時間と空間のスケールは、どうしても乖離する方向に行くからね。ところが、関わり合いをなくす努力をした結果、一周回って高速道路を人の生活に取り込んじゃった…

コロッセオ

大橋ジャンクションのループの内側は、首都高の管理施設や換気塔の他に、目黒区が管理している「オーパス夢ひろば」という多目的スペースがある。4層ループの巨大な壁面に囲まれているだけに、アーチダムの下流面も似た、とても魅力的な空間が形成されている…

空中庭園

大橋ジャンクションは施工時に3度ほど見学させていただいたのだが、完成後にじっくり見たのは本日が最初。正確には先月はじめにチラリと下見したんだけど。このジャンクション、道路とその付帯設備の他に、2つの高層ビルの中に住居の他にも商業施設、事務所…

海上交差点

熊本県の牛深ハイヤ大橋は、見どころ満載のかっこいい桁橋。そもそもの必要性云々はさておき、道路線形からディテールに至るまでのトータルデザインのクオリティはとてつもなく高い。 橋梁が描くきれいなラインの中にポツンとある信号機付き丁字路交差点は、…

拡大する社会のインフラ

10年前に撮った瀬戸大橋の写真を引っ張り出す用事があったので、海を渡るってことを振り返ってみた。 20世紀後半のおよそ50年間、日本の国土開発は「国土の均衡ある発展」をキャッチフレーズとして、経済成長を前提とする量的拡大が行われてきた。それを考え…

とぐろを巻くJCT

先週の大阪出張の際、仕事が立て込んでいたので早く戻る必要があった。でも少しだけ都市内高架橋を見てから帰ろう、なんて思ったのが運の尽き。ホテルから近い東船場ジャンクションを堪能していたのだが、ついつい我慢できなくなってしまい、地下鉄中央線で…

つぶれたおにぎり

先日訪れた栃木県鹿沼市にて、たまたまバスの車窓から見た案内標識。国道121号、国道293号、国道352号の3つが重複していることで、路線番号を示す通称「おにぎり」が6連になっている。これって珍しいんじゃないだろうか。少なくとも、僕ははじめて見た。ム…

未来的避難所

日本海に沿って小樽と稚内を結ぶ「オロロンライン」は、北海道の雄大さを体感できる素晴らしい道路だ。特に道北のサロベツ原野をひた走る直線区間は、日本離れしたスケールをうんざりするほど堪能できる。 もちろん夏の晴れた日のドライブは最高な体験になる…

道路複合物件

僕のツイッターのタイムラインにはこのところ、先日オープンした駅上超高密度バスターミナル「バスタ新宿」の情報が各方面から多数書き込まれている。僕も早く見に行きたくなってウズウズしているのだけど、しばらくは目の前の仕事から抜け出せそうにないん…

ドボク初め

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 僕の今年のドボク初めは「首都高ぐるぐるドライブ」だった。空いている首都高を面白がって爆走するというものではなく、あるミッションを帯びた動画撮影班に運転手として帯同することが目的だ…

芝浦ループ

またしても船に乗って東京を満喫する機会を得た。もちろん今回も仕事だよ。水面から東京を捉え直すために、10名弱の特別チームが編成され、本気で撮影をするってものだ。途中昼食休憩をはさみながら、合計約8時間もトイレのない船に揺られ続けた。極めて楽し…

明確な歩車分離

ものすごく久しぶりに仙台を訪れた。これまで何度も立ち寄ったことはあるのだけど、たいてい目的地ではなく経由地だったので、ほとんど印象がないままだった。今回は少し街を歩いてみようと思い、用務の翌日に時間を確保していたのだが、あいにく雨に降られ…

ふんわり地下空間

昨日、山手トンネルが全線開通した。うっかりしていて、開通おめでとう!を言いそびれてしまったので、あらためてここで紹介しよう。 すでに記載したように(新品トンネル)、先月の中頃、このトンネルを見学させていただく機会を得た。そのときの様子は、住…

新品トンネル

先日、供用間近の山手トンネル(湾岸線〜渋谷線)を見学させていただいた。このトンネルの開通によって、首都高中央環状線(C2)がついに完結するのだ。すでに供用済みの板橋までの区間を含めると、総延長はなんと18.2kmにおよぶ。長いとされる山岳トンネ…

山を越える道

ここ数日、スイスの写真を見返している。アルプスの自然の絶景はもちろんすごいんだけど、そこに道路が入った風景も、これまた強烈なインパクトがあるね。アルプスの山と谷の急傾斜と、車両の走行が可能な線形が、ギリギリのせめぎ合いを繰り広げた結果なの…

高速道路貫通ビル

以前お伝えした芝浦の「水管橋貫通住宅」もカオス的未来感のあるたたずまいが凄まじかった(残念ながら今はもうない)が、阪神高速のランプにぶち抜かれている大阪梅田のオフィスビルも凄まじい。こちらの方は、昔のマンガや映画によく出てきた未来の街がリ…

魅惑の四叉路

あまり四叉路という言葉は聞き慣れないが、まあ十字に交わる交差点のことが一般的だよね。でも、世の中にはひとつの道が3つに分かれる四叉路もある。というか、僕は写真の現場を見て、こんな分かれ方もあるのか!とびっくりした。 ルクセンブルク市内にある…

サーキット見学

シンガポールを訪れた初日に、じっくり見ようと思っていた市街地の古い橋が妙な囲いで覆われていて、ろくに見ることができなかった。その時は妙な工事のやり方だなあとスルーしていたのだが、最終日になってようやく気がついた。 ああ、あれはF1コースの整…

大仏アテ

我が家のある千葉市から水戸やつくば方面に車で向かう時は、今のところルート選定が少々悩ましい。首都高を経由して常磐道で向かうのが一番効率的ではあるが、渋滞に巻き込まれるリスクがつきまとう。国道16号で柏に行き、そこから常磐道に乗るというのが距…