中学校と高校で吹奏楽部に所属していた千葉県民の僕は、毎年夏になると必ず千葉県文化会館を訪れていた。吹奏楽コンクールの県大会がこのホールで開催されるためだ。数年前、演奏会を聴くために約30年ぶりに入り、その変わらぬ空間の質の高さに感激するとともに、高低差のある構成にワクワクしていた記憶が蘇ってきた。しかし、外観の記憶はほとんど戻ってこなかった。象徴的な眺望点は用意されていないのだろう。
後日、すぐ近くにあるコンクリート造天守閣に登ってみた。情報が渋滞してしまうが、これは亥鼻城趾につくられた千葉城と呼ばれる千葉市立郷土博物館だ。ともあれ最上階から千葉県文化会館を見下ろすと、スターウォーズに出てくる帝国軍の戦艦のように、三角形の要素が含まれたかっこいい造形であることがわかった。中央にあるピラミッド状の塔は中央ロビーの採光部で、奥の傾斜屋根は舞台に向かって広がる大ホールだ。ようやく中と外が認識できた。あらためてお世話になった素晴らしい建築物に頭を下げた。
1967年に完成したこのホールは、大髙正人の設計。千葉県民は千葉県立中央図書館や千葉県立美術館など、すっかりお世話になっている。昨年の夏の東北旅行の際は、お礼のつもりで氏の生誕地である福島県三春町の建築群を詣でてきたのだけど、その話題をブログに書き忘れていたことに、いま気付いた。
千葉県文化会館は現在大規模改修工事中で、今年の夏に完了するらしい。どんな姿になるのか楽しみだね。また、すぐ近くにある千葉県立中央図書館は別の場所に移転するとのことだが、建物自体はどうするのかな。取り壊すという話を聞いた気がするのだが。