はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2008-01-01から1年間の記事一覧

パイプが絡む建物

今にもパイプに浸食されそうな建物に見える。あるいは、建物の内臓がむき出しになっているようにも見える。しかし、そもそもこれは建物ではない。なにかの巨大な装置なのだ。 普段われわれが持っている常識の範疇から、このスケールの物体はついつい建物と認…

新しい橋

パリのセーヌ川に架かる、最も古い橋。名前は「ポン・ヌフ」、日本語に訳すと「新橋」。 完成は1604年。今から400年前に、宗教戦争しながら架けたらしい。そんな古い橋なのに、現在は自動車がバンバン通っている。いくら地震がない国だといっても、すごいこ…

飲み込まれた橋

秋葉原の総武線。 ここの高架橋は、もはや土木ではない。 もちろん、建築でもない。 たぶん、メディアに飲み込まれたんだと思う。

デートスポット

コンビナートの装置に灯るライトは、保守点検のためのものだ。少ない灯具で効率的に照明することが、設計の肝なんだろうね。少なくとも、外観を飾るためのライトアップではない。 しかし、なかなか美しい。 クリスマスのデートには、コンビナートを巡るのを…

構造デザイン的アプローチ

パリ市内の運河に架かる歩道橋。テンションメンバーによってアーチを描く薄い桁を補剛している。プレファブの鋼桁部を船で運び、コンクリートの脚部に落とし込むという方法によって、極めて短期間に施工したとのこと。 以前、設計者のマルク・ミムラム氏にお…

視点の切り替え

僕は高いところが大好きである。高層ビルや展望施設などに行くと、同伴者が恥ずかしくなるくらい外を眺めるのに夢中になるらしい。もちろん僕だけでなく、高いところが好きな人はたくさんいるはずだ。はしゃいでいる人も多く見かけるし、はしゃぎたい衝動を…

補強中

かつしかハープ橋の下部工は、なかなか見事な造形をしている。綾瀬川の流芯方向に合わせた小判型断面の橋脚に逆さの円錐を組み合わせて、斜角のある桁を違和感なく乗せている。 その下部工では現在、工事が進められている。たぶん、耐震補強工事だと思う。一…

クリスマスライブ

トワイライトシステムの年末の恒例行事、クリスマスライブが来週行われる。仕事帰りにちょっと時間があるよという方は、ぜひ。すてきな音楽と、おいしいお酒やお料理と、大爆笑の演出がそこにある。【12月11日(木) TSクリスマスライブ2009】 会 場|銀座T…

平穏な日常

のんびりと釣りをするおじさんたち。 コークス工場から出る激しい水蒸気も、彼らにとってはいつもの風景。

結界

送電鉄塔の下から真上を見上げると、単純に美しいと感じる。 単純なトラスの幾何学模様が重なり合い、複雑な図形となって繰り返され、天空に延びていく。 立体を平面化して鑑賞する行為からは、脳のスイッチが入れ替わる快感が得られる。 鉄塔ファンならずと…

黄金の大玉

台湾で台北101という超高層ビルに登ってきた。その高さは500mを超える。7つ積み重ねれば、おおよそ富士山の高さになる。そんだけ高けりゃ、ちょっと風が吹いただけでもゆんらゆんらと揺れるわな。 その対策は、いたってシンプル。ビルの頂上付近に「おもり…

半公共空間

台湾の街は、なかなか面白い。商店街が至るところにあり、それぞれ活気に満ちている。 このことは、建物と街路の関係が大きく関係しているような気がする。建物の1階前面を歩道空間として開放し、『騎楼』と呼ばれるアーケードを形成している。2階以上の階…

アーチ式斜張橋

出張で来ている台湾で、移動中に珍しい橋を見かけた。主塔がアーチ状になっている斜張橋だ。 斬新なものをがんばって考えてみましたというような、学生作品的なノリを感じた。 一瞬しか見えなかったのが残念。もっとじっくり見たかったな。

熱帯の排水管

今週の初めから、台湾に来ている。しかし、あまり出かけることができない。せっかく南国にきているのに、ストレスがたまる毎日だ。 移動のバスから眺める台湾の高架橋は、総じて、排水管がやけに目立っているように感じる。管径が太く見えるし、排水枡の間隔…

城砦ダム

昭和5年(1930年)に完成した日本で唯一の石積みマルチプルアーチダム、豊稔池ダム。讃岐の水田を潤すために、いまも現役で働いている。黒々としたバットレスが堅牢な古城のごとき威圧感を放っていて、ものすごくかっこいい。 設計は佐野藤次郎。完成の前年…

下部工付きバルコニー

橋梁において、桁や橋面は「上部工」、橋脚や橋台は「下部工」と呼ばれている。上部工と下部工の接点には「支承」もしくは「沓」と呼ばれる荷重を上手く伝える装置があり、それなりの頻度で点検をする必要がある。このため、下部工には点検のための足場とし…

工場クルーズを終えて

先日、第2回の「京浜コンビナート鑑賞クルーズ」が開催された。第1回はややどんよりとした天候で、それなりに雰囲気のある光景だったのだが、今回は好天に恵まれた。ただ思いのほか風が強く、船長判断により、当初予定していたルートから変更になった。 写…

球の理由

この球形タンクは、いかついタワーたちに囲まれていることで、かわいらしさがいっそう引き立っている。ついつい手を伸ばして、なでたくなるほどだ。 球形のタンクでは、内部の圧力を高めてガスを液化し、貯蔵しているのだそうな。その圧力を最も効率よく受け…

錆の塊

先日の「京浜コンビナート鑑賞クルーズ」で見かけた、すてきなプラント。全面が錆びている巨大なドーム状構造物の迫力と、それを取り囲む点検足場の繊細さのコントラストがたまらない。 この工場クルーズでは、多種多様なプラント群を遮蔽物なしに近い距離か…

すてきな高架橋

首都高中央環状線は、平行する荒川と中川の間にある堤防の上を通っている。これまでは橋面を走行することしかなかったのだけど、最近になって、堤防の上を散策しながら、下からじっくり眺める機会を得た。 塗装が傷んでいる箇所が部分的にあったが、とても丁…

わかる形

橋梁の構造形式の中でも、アーチ形式が好きな人はかなり多い気がする。たぶん、アーチは“直感的に理解できる形”なんだと思う。重力のある環境の中で生活してきた経験を無意識的に動員して、力の流れをなんとなく了解できるのだと思う。 内部空間を生み出す建…

坂の上の高層アパート

坂の多い街、釜山に来ている。結構な急斜面に、びっしりと建築物が貼り付いている。低層住宅だけでなく、高層アパートもかなりのボリュームで群生している。異様な景観が形成されていて、移動中にちょいと眺めるだけでもわくわくする。 ところが、軟禁状態に…

川の交点

荒川放水路と中川が接続されている中川水門。かつしかハープ橋のすぐそばにある。先日見たときには、荒川放水路と中川の水位差のためか、結構な勢いで水が動いていた。 中川水門は首都高中央環状線の桁下空間に、まるでコーディネートしたかのようにスポッと…

夕暮れの鉄塔

荒川の河口付近の送電鉄塔。下部はほのかに明るい夕暮れの空を背景に、トラスが描く繊細なシルエットが浮かび上がっている。左右に堂々と広げた腕金は、街の明かりを受けて少し明るくなって、これまた夜空に浮かび上がっている。 昨日の夕方は、バランスの良…

秋の工場クルーズ

10月25日(土)と11月1日(土)に、川崎の工場群を船から鑑賞する「京浜コンビナート鑑賞クルーズ」が行われる。なんと、ツアーガイドは『工場萌え』の石井哲さんと大山顕さん。あのコンテンツであのトーク、面白くないわけがない。晴れるといいな。 ■料金:…

かっこいい見学

昨今、大人の社会科見学が各方面で流行っている。とても素晴らしいことだと思う。知的好奇心を満たそうというこの動きには、社会が成長ではなく成熟に向かっていることが現れているんじゃないかな。それと、日本は平和だということも。 そんな中、NHKエン…

ロジスティック・スケープ

昨年くらいから船に乗せていただく機会が増えてきて、すっかり港湾の魅力に目覚めてきた。 たとえば、船から眺める製鉄所や石油化学工場はもちろん素晴らしいのだけど、高度に効率化された物流の眺めってのにも味わいというか面白さを感じるようになってきた…

都内の大平原

中防見学ツアーに参加させていただいた。中防とは中央防波堤埋立処分場のこと。早い話が、東京湾にあるゴミによる埋立地を見学してきたわけだ。 これが、予想以上に面白かった。充実した見学内容や聞き応えのあるガイドトークなどへの満足度も高いけれど、目…

水面の道

世の中には変わった橋がある。数年前、シアトルで“浮き橋”という形式を見かけた。と言っても、上空から見ただけだけど。 浮き橋は、浮力によって橋の重量を支える形式。このワシントン湖は水深が深くて、基礎の設置を断念したのだそうな。歩道橋ではときどき…

長い腕

上海の街では、いたる所でクレーンがぶんぶん動いていた。万博に向けての建設ラッシュは、とんでもないスピードで行われているようだ。最近では中国経済のバブルがはじけたなんて報道されているが、そんな風にはとても思えなかった。 それと、平気で道路の上…