はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

資源

燃油の移動

日系航空会社の燃油サーチャージが過去最高水準になっているという報道があった。今年の6月発券分で爆上がりして涙目になった記憶が新しいが、8月発券分でもさらに上がって欧州便は往復約10万円コースとのこと。もちろん、航空券代そのものもあり、それも…

大地の穴

人類は穴を掘り続けてきた。断熱性や保温性のある住処として、生活で出た廃棄物を埋める場所として、死者を弔い大地に還す場所として。まだ科学と信仰が一体だった頃、莫大な利益や強力な軍事力につながる錬金術に魅せられ、採掘の技術や規模は拡大していっ…

山の中の塩

お正月にスペインの山中で購入した、とても美味しい「塩」がそろそろ切れそうで困っている。地中の岩塩が溶け込んだ泉からつくられたミネラルたっぷりの塩を、思っていた以上に消費しているのだ。日本での購入も可能なようだけど、ずいぶん高くつくので二の…

エネルギーの眺め

幸運なことに、数少ない未踏県だった青森県の下北半島を訪問する機会を得た。その移動ルート上にある六ヶ所村で、各種の「エネルギー」が濃厚に集積している眺めを目撃した。写真手前からメガソーラー、火力発電につながる石油備蓄基地、丘陵地に林立する風…

水を配る塔

どうにも年度納めができないままにうっかり新年度を迎えてしまいそうで、なんとも冴えない体調が続いている。休日だった今日も朝からぼんやりしていたが、一念発起して以前から気になっていた千葉県水道局による「桜の季節の見学会」に出向いてみた。それは…

発電のジレンマ

昨日は今回の旅で唯一の晴れ間となる予報だったので、急遽レンタカーを借りて露天掘り褐炭採掘場を堪能してきた。特にガルツヴァイラー・タゲバウにあるデッキが空中に張り出した「スカイウォーク」は、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』の執筆時に電力会…

スケール感の表現

山口県美祢市にある宇部興産の露天掘り石灰石鉱山では、巨大なダンプトラックが往来していた。しかし鉱山自体を眺めると、その巨大さが全く実感できないスケール感。実際のダンプトラックが気になって、少し調べてみた。別の写真から判定すると、どうやら「…

住宅地の中の油田

大型連休には秋田に行ってきた。旅の直前になって、秋田のドボク的見どころってなにかなあと思い調べていたところ、「現役の油田」という文面を発見し、油田なんて見たことがないよ、これは行かねば!と急激にテンションが上がった。 そこは「八橋(やばせ)…

エネルギーの廃墟

先日の福島訪問では、「いわき市石炭・化石館」や「みろく沢炭鉱資料館」を含めた常磐炭田関連の施設を、いわきヘリテージツーリズム協議会の方々から丁寧なご解説をいただきながら、駆け足で巡った。 その中でも最もビジュアル的な迫力があったのは、「常磐…

豊かなテクスチャー

一ヶ月ほど前のこと。一関から陸前高田に向かう道中、素敵な石灰工場に出会った。なんと言えばいいんだろう、形態と壁面とテクスチャーの関係が絶妙すぎてたまらない。一見すると無計画なトタン・パッチワークのように感じるけど、全体も部分もしっかり整っ…

褐色の雨

年末に妻の写真を一気に見た(記憶の定着に寄与するもの)のだけど、その中の写真で衝撃的にかっこよかったのがこれ。泥をかぶったバスの車窓から撮ったバケットホイールエクスカベーターだ。 なにこの世紀末的ディストピア感。なにこの悪の軍団の秘密基地感…

近代日本が生まれた穴

昨日はとてつもなく魅力的な現場を見学させていただいた。それは、茨城県笠間市にある高級御影石「稲田石」の採掘現場。昨日に至るまで、台風の影響で2度ほど見送らざるを得なかっただけに、感激もひとしおである。暑さなどはすっかり忘れて長時間にわたり…

地底湖クルーズツアー

「OHYA UNDEGROUND 〜大谷地底探検と里山ハイキング〜」というツアーに参加した。これがもう、なにからなにまで素晴らしいツアーだった。これまで数多くの産業観光系ツアーに参加し、時には企画のお手伝いもしてきた僕からしても、このツアーの質感の高さは…

竪坑の内臓

マーストリヒトにほど近いベルギーのヘンクという街に、「C-mine」という炭鉱跡をリノベーションした施設がある。ここの情報はネットでちらほら見かけていたのだけど、具体的にどんな施設なんだかよくわかっていなかった。タービン建屋のチケット売り場でい…

セメントツアー

山口の宇部・美祢・山陽小野田エリアで開催されている産業観光バスツアー「大人の社会派ツアー:第1章 セメントの道」に参加した。このツアーは僕らが千葉を舞台に企画したモニターツアー(読売新聞の記事)と同時期に開始されたものだと記憶しているが、し…

しめたん

福岡市の郊外にある鉄筋コンクリート造の竪坑櫓を有する志免炭鉱は有名だよねえ。産業遺産としての位置付けや保存についていろいろとすったもんだがあったようだし、廃墟マニア的にも優良物件らしいし、何しろそのフォルムが強烈に魅力的だし、略して呼ぶと…

浮かれ武甲山

ふと気がつくと、1泊2日で秩父方面のダムを巡ったゴールデンウィークから、もはや3ヶ月も経過している。すっかり老け込んでしまったのであろうか、このところの時間の流れの速さには驚くばかりである。いや、本当に驚くべきは、せっかく素敵なものをたく…

ネガティブマウンド

このところ採石場ネタが続いているので、さらにもうひとつ。 先月札幌に出張に行った際、「石山緑地」という採石場の跡地を活用した公園に行ってきた。もう15年くらい前になると思うが、はじめて訪れたときには、すごく感激した記憶がある。特に露岩した切羽…

人工柱状節理

もしかすると「お、このブログで自然景観とは珍しいね!」と思う方がいらっしゃるかもしれないが、今回もちゃんとスーパースケールの人工景観の話である。写真中央の倒木が気になるけど、そこには触れない。 標高300mを越える山の頂部をよく見てみると、いか…

房総の荒々しさ

鋸南市の採石場がかっこいい。千葉にこんなキレのあるワイルドな眺めがあるなんて、これまで知らなかった。少し前に体験した採砂場に引き続き、またしても千葉を見直すことになった。こうしたネタをうまく編集して、房総産業景観ツアーをまじめに企画してみ…

東京は千葉でできている

僕が住んでいる千葉県は、東京ディズニーランドや東京ドイツ村があったりと、東京に媚びた卑屈さがあるように見える。しかし東京という大都市は、主に千葉でできているのだ。という事実をつい最近知った。どうやら千葉県民はこの事実をもう少し認識した方が…

肥大化した蚊

工業デザインを勉強していた学生の頃、2年次の立体造形の授業だったと思うが「ワイヤー・スカルプチャー」という課題があった。線材である針金を用いて、立体である昆虫を表現せよというものである。この題材として僕は「蚊」を選んだ。そして小さな蚊を捕ま…

バケットホイールエクスカベータまとめ

このブログへのアクセス解析のページをときどき眺めると、マニアックな検索ワードでたどり着いてくださる方が多いなあと感じる。このブログのコンテンツが一般的とは言い難いことはさすがに自覚しているので、こうした傾向はネットの海の向こう側に同胞がい…

掘削の現場

またしてもドイツのガルツヴァイラー露天掘り炭鉱の見学バスツアーに参加してきた。今回は前回よりもさらに深い現場に潜入し、なんと、あのバケットホイールエクスカベーターが実際に稼働している様子を拝むことができた。いやもう尋常じゃない迫力。こんな…

おしゃれ炭鉱

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱は、いちいちかっこよくて目のやり場に困った。行く前はそれほど期待していなかったんだけど、さすがは世界遺産に登録されているだけのことはある。バウハウス丸出しの各種建屋、シンボリックな立坑櫓、廃墟感あふれるコー…

壮麗な彫刻

ガルツヴァイラー露天掘り炭鉱で見た、延々と続く大地の彫刻。こんなとんでもないスケールの作品はこれまでに見たことがない。いやもう理性が吹っ飛ぶくらい感動的だよ。 ドイツは環境先進国と言われているけど、決して盲目的に自然保護をしているわけではな…

露天掘り炭鉱ぐるり見学バスツアー

日曜日はドイツのRWEという電力会社が行っている露天掘り炭鉱見学バスツアーを下見してきた。結論から言うと、リスクを冒しても見に行くべきだね。わざわざ日本からこのためだけに来るのは、少々ギャンブル性が高いのだが、当たれば間違いなく大満足できる。…

バケットホイールエクスカベータ

Tagebau Indenの展望台からの眺め。写真右下に写り込んでいるオレンジ色の人たちと比較すると、このマシンがいかにばかばかしい大きさかがおわかりいただけると思う。ドイツ人はなんでこんなものをつくっちゃったんだろう。ああかっこいい。バケットホイール…

オープンピットマイニング

先日、橋の調査に行くためにグーグルマップの航空写真を見ていたら、ケルンの西側に白っぽい奇妙な地形がいくつかあることに気がついた。むむっこれはもしやと思い、ぐぐっと寄ってみると、虫のような黒い点がいくつも見える。おおっこれはもしやと思い、さ…

古代風地下迷宮

先日、念願かなって宇都宮の大谷資料館に行ってきた。地下空間好きならば、必ず訪れなければならない場所のひとつだ。この一帯では大谷石という軽くて柔らかい石材が採掘され、その跡地である超巨大地下空間が一般公開されているのだ。 エントランスが手動の…