はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2016-01-01から1年間の記事一覧

私的ドボク大賞2016

さあ今年は早くも大晦日。今年も個人的な歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を催行しよう。これは、僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が最も感激したものを選定し、僕が心の中で表彰するという、完全な自作自演で誰も共感できないアワードである…

擬木桁

差し迫る年末感を伴って、長野県伊那市を訪れた時の写真を焦りながら見返していた。すると、高遠ダムのすぐ近くに架かる台形断面の鋼箱桁の歩道橋が目に入った。なんとこの歩道橋、桁の表面に木目調のペイントが施されている。高遠城址に近い場所であること…

逃げ恥ロス

TBSのテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が大きな話題になっていることは、さすがに僕でも知っている。しかし、とても残念なことに、僕は一度も観ないままに終了してしまった。最終回だけでも観ておくべきだったなあと悔やんでいる。 と言うのも僕は、…

クリスマス足場

およそ1ヶ月前、自分の職場のシンボルツリーがステキなことになっていた。イルミネーションの電飾を取り付けるための作業足場が組まれていたのだ。翌週同じ場所に行ってみたら、跡形もなく解体されていた。 2年前には有名な表参道のイルミネーションの準備…

自然を引用した楕円

スイスアルプスの渓流沿いを歩くトレッキングコース「Trutg dil Flem」には、ユルグ・コンツェットが設計した7つの歩道橋が架けられている。それらの橋は美しい渓流を様々な角度から楽しみ尽くすための重要な視点場として設えられており、それらの橋自体が…

将来対応の角

旭川の繁華街にあるビルの側面に、大量の角(つの)が盛大に飛び出していた。神田明神の近くで見たビルにも似たような角が生えていたなあと思い出したのだが、いまひとつその役割がピンとこなかった。SNSを通じて、複数の方から増築のための仕掛けだろうとい…

世界的な歩道橋

数年前に九州に行った際の写真をほじくり返す機会があったので、その最中に大事な橋を再発見した。川口衞が設計した、別府の南立石公園の脇に架かる「イナコスの橋」だ。その構造形式は「サスペンアーチ式不完全トラス構造」とされているが、正直なところ僕…

悪魔の橋

昔から人は自分が理解できないものを、神や悪魔の仕業として位置付けようとする。どうにもならない難所に超絶テクニックを用いて架けられたことで、「悪魔の橋」と呼ばれる橋梁は世界中にあるだろう。有名どころでは、スイスのゴッタルド峠の近くに架かる橋…

駅前ビルの表層

新橋駅前ビル1号館が纏っているテクスチャーは、懐かしい未来感に溢れている。それは、なんとも絶妙な色彩、透明感、素材感がつくり出すグリッド。新橋駅の東側を通るときには、いつもうっとり眺めてしまう。 第一京浜側のフラットな面を眺めて、壮大な矩形…

港との距離

国家や都市のバックヤードを担っている港湾って、グローバル化とともにその規模が大きくなるに従って、どんどん市民生活から離れていき、リアリティを失ってきているように思う。それは、様々な形態の貨物を合理的に大量運搬可能にした「コンテナ」という物…

スナック様式の最高峰

先日、富岡製糸場を再訪した(参照:世界遺産のお手入れ)。その際に市街地を散策したのだが、これがなかなかしびれる街並みだった。なんというか、かつて多くの人々が行き交っていた頃の雑多な猥雑さを思い起こさせる、絶妙な昭和感が残されていたのだ。 そ…

浮かび上がる骨格

11月24日までに、急いで新宿駅西口広場イベントコーナーに行こう。土木学会「土木コレクション2016」と、東京都建設局「橋と土木展」が同時開催されているので。土木の展示としては王道である「技術を丁寧に伝える」という雰囲気の中で異彩を放っているのが…

10周年とは

10年前の今頃は、様々な意味で自分にとって大きな転機になった時期だった。それまで激しく続けていた様々なプロジェクトが収束していったり、自分の周辺でごたごたが続いてしまったり、なぜか心身ともに不調に傾きはじめてしまったり。その一方で、個人的ム…

存在を誇示するダクト

本日はベルギーの街角デザインの話をする機会があった。そのプレゼン資料の材料を集めている最中に、アントワープ中央駅の地下ホームの写真を久しぶりに見て、あらためて衝撃を受けた。なにこのダクトの存在感。なにこの無駄に注意を喚起するカラーリング。…

遺跡の見せ方

夏のアルプスツアーの目的のひとつに、Marte.Marte Architektenによる橋があった。調べているうちに、どうやらローマ時代の遺跡を絡めた「Freilichtmuseum Römervilla」なる耐候性鋼板でつくられたモニュメントがヒットしたので、ついでに見に行ってきた。こ…

上海のジャンクション景

そういえば上海の都市内高架橋って、プランターで緑化していた気がするなあと思い、過去の写真をごそごそと捜索してみた。すると、2006年に出張で行った際の写真が出てきた。もう10年も前という事実に驚愕しつつ、仕事をちょろりと抜けてジャンクションの写…

リアルな山水画

先週末は旭川を訪問した。11月上旬なのに、ひょっとすると根雪になるんじゃないかと思うほどの荒天に見舞われた。訪問者の身勝手な思いだけど、久々に真冬の北海道を疑似体験できて、懐かしさとうれしさがこみ上げてきた。 土曜日の午前中に用務が終わり、夕…

素敵な駅舎と街の変化

2010年に開業した4代目旭川駅。これまでも何度か訪れているけれど、今回ははじめて夜景を堪能した。しかも、11月上旬なのに適度に雪が積もった冬景色で。 昼間ははっきり認識できない特徴的な形状の柱が、ガラスのカーテンウォール越しにくっきり見えて、そ…

国境の屋根

この夏に通過した、オーストリアとリヒテンシュタインの国境にある施設。やたらと薄くシャープに見える板と、たった2本のやたらと細く見える柱で構成されたキャノピーは、重力に逆らう魔法がかけられているように見える。本体となるガラス張りの施設はスケ…

耐震補強庁舎

遅ればせながら、1週間前に発生した鳥取中部地震で被災された方々へ、お見舞い申し上げます。一日も早く平穏な生活が取り戻せますよう、心より願っております。多方面から復興支援に携わられている方々におかれましては、体調管理などに気をつけながら元気に…

とぐろを巻くJCT

先週の大阪出張の際、仕事が立て込んでいたので早く戻る必要があった。でも少しだけ都市内高架橋を見てから帰ろう、なんて思ったのが運の尽き。ホテルから近い東船場ジャンクションを堪能していたのだが、ついつい我慢できなくなってしまい、地下鉄中央線で…

立山のドボクを見に行こう

2016年11月19日(土)~20日(日)1泊2日で、富山県立山町を貫流する常願寺川のドボクを見に行きませんか?監修という立場で僕も企画に参加しているツアーが実施されますよ。 旅の発見:【モニターツアー】激流をコントロールせよ!「富山県立山町・土木イン…

川の中の駅

夏にチューリッヒを訪問したとき、坂茂氏が設計した木造7階建てオフィスビル「タメディア新本社」を見に行った。しかし、目の前を流れる河川の中にある構築物に目を奪われてしまい、木造ビルどころではなくなってしまった。 これはなんと、河川の地下を通る…

l.m.v.d.r.

先日、東京国立近代美術館で開催されている「トーマス・ルフ展」に行き、たいへん感激した。2013年に国立新美術館で行われた「アンドレアス・グルスキー展」の時と同様に、「写真」という概念を激しく揺さぶられるクラクラ体験を味わった。それもそのはず、…

ドボクの集積ポイント

フォルトキルヒの繊細なトラス歩道橋から上流を見ると、なにやら新しそうな屋根付き木橋が見えたので、近寄ってみてみることにした。その木橋自体も様々な工夫が取り入れられていて面白かったのだが、さらに上流に目をやると、なにやら堰堤らしきものが見え…

繊細なトラスが架かる街

僕がドボク旅行を計画する際には、ぜひとも行きたいという大きなアンカーポイントを最初に設定し、それらを結ぶように周辺地域のサブコンテンツを探していくという方法を採っている。オーストリアのフェルトキルヒという街は、そんな中で経由地としてピック…

薄い板

スイスのフライエンバッハという街の南にある、高速道路の上空に架けられたビルヒェルヴァイト(Bircherweid)歩道橋。高低差がある場所を驚異的に薄い板だけの構造物は、なんと1965年につくられた世界初の吊床版歩道橋だという。少々道に迷いながらたどり着…

滝になった川

先週末、常願寺川の上流から河口までを2日間かけて丁寧にたどる旅を実践してきた。ここ数年で何度も訪れているエリアだけど、はじめての体験がいくつか実現できた。まず、常願寺川の源流の一つである称名川が弥陀ヶ原台地を一気に350mも流れ落ちる「称名滝」…

超巨大モノリス

チューリッヒでは様々な場所からやたらでかいコンクリートの箱がチラチラ見えて、なんとなく気になった。古い鉄道高架橋の桁下空間利用事例を見に行ったら、たまたまこれが通りの奥にチラリと見えたので、おそるおそる近づいてみた。 窓がないのでオフィスビ…

つぶれたおにぎり

先日訪れた栃木県鹿沼市にて、たまたまバスの車窓から見た案内標識。国道121号、国道293号、国道352号の3つが重複していることで、路線番号を示す通称「おにぎり」が6連になっている。これって珍しいんじゃないだろうか。少なくとも、僕ははじめて見た。ム…