はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

私的ドボク大賞2011

本年は怒濤の勢いで欧州ドボク紀行を敢行した。20年分くらいのサーベイを一気にやったような、とんでもなくドボク密度の高い1年だったな。その中でもとりわけ印象深いものはなんだっただろうかと考えてみると、まああれこれ思い出すのだけども、やはりミヨー…

音楽の橋

今年の5月にローマのテヴェレ川に架けられたばかりの、Ponte della Musicaという鋼アーチ橋。現時点では歩道橋だけど、将来はバスやトラムが通ることを想定しているらしい。 きっちりときれいにまとめられた橋ではあるが、既視感のある構造フォルムやカラー…

オリンピックドーム

1960年のローマオリンピックの会場としてつくられたPalazzetto dello Sport(完成は1957年)。トリノのTorino Esposizioniと同様、イタリア人構造デザイナーのPier Luigi Nerviが手がけた物件だ。このドーム屋根のコンクリートのリブがあまりにも美しく整い…

手練れの仕事

電車で出かけた際に、たまたま車窓から見えたMilano Rogoredo駅のプラットホームを覆う屋根が気になったので、帰りに寄り道をしてきた。これがなかなか素敵なものだった。 断面が三角形のトラスを中心に、透明板のパネルとちょっとした庇を吊っている。色が…

宙づりエレベーター

高さ167mのトリノのシンボル的建築であるモーレ・アントネリアーナは、1863年にユダヤ教の礼拝堂(シナゴーグ)として建設がスタートしたんだけど、建設途中で資金難という大人の事情によりトリノ市へ委譲されて、1889年にようやく完成したんだって。内部は…

リノベ前物件

ミラノ郊外のLodiという街で見かけた素敵物件。おそらく穀物用の倉庫だと思う。鉄道駅に隣接したバスターミナルの前という申し分ない立地、極めて端正なプロポーションのグリッド、上下にグラデーションがかかっているかのような表面のテクスチャー、どこを…

鋼列柱

トリノのある教会を見るために中心部から北西方向にトラムで行ってみるたのだけど、周辺の状況はまったく調べて行かなかったので、そこに広がる光景はまったく想像していないものだった。 錆止め色の柱が果てしなく広がっている公園は、とても印象的な空間が…

展示物のない展示空間

かつてトリノモーターショーが開かれていたというTorino Esposizioniの内部空間。このドームはPier Luigi Nerviの設計により1949年に建設されたものだ。ネルヴィの屋根が見たくてトリノに来たのだ、どうしてもこの目で見て帰らなければ、という気分でヴァレ…

空中サーキット

1923年から1982年まで操業していたフィアット社の巨大自動車工場「リンゴット」を見るために、トリノへ行ってきた。とりあえず1928年に撮影されたウィキペディアの写真をご覧くださいな。すごいから。現在この工場は、レンゾ・ピアノの手により改装されて、…

ファシストの家

ジュゼッペ・テラーニというイタリアのモダニズム建築家が設計したカサ・デル・ファッショという建物が、スイスとの国境付近のコモにある。1932年にムッソリーニのファシスト党本部として建てられ、現在は国境警備隊が使っている。まあ権威を象徴するのが使…

壁の穴

ミラノ北駅からコモへ向かう電車が出発するまで少し時間があったので、駅前からチラリと見えたスフォルツェスコ城を散歩してみた。レンガ造りの城は堅固な要塞といった風情で、優美さなどはほとんど感じられない。ここらへんは頻繁に戦争を繰り返していたの…

トリックアーチ

ミラノから電車でおよそ1時間のコモの街を散策中、遠くの方にチラリと見えた山裾の鉄道高架橋に大きな違和感を抱いた。急いで近づいてみると、それは理解しがたい連続コンクリートアーチ橋だった。なんだこれ、アーチ部分におかしな段差が付いているぞ。左か…

コンクリートトラスアーチ

ミラノ市内のナヴィリオ運河に架かる歩道橋。名前はPonte del Dazioのようだが、まだ確証は得られていない。コンクリートのトラスはかなりごつくて、雰囲気の良い運河の中において、過剰なまでの存在感を放っている。それでも部材の角度に微妙な変化をつけて…