はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ねじれた関係

田園風景の中にポツンと架けられたあるアーチ橋に近づくと、違和感というか気持ち悪さがどんどん増大する。橋がゆがんで見えるのだ。ちょっとしたワンダースケープである。

その理由は、道路と川が斜めに交差しているために、2つのアーチリブが平面図上で橋の前後方向にズレていること。

図面には、実際の人の眺めに生じる“ゆがみ”は表現されない。だから、二次元の図面だけで検討していれば、そんなに違和感はない。 しかし、三次元空間に生きる人の視覚は水平と垂直に敏感に反応し、ちょっとしたズレが検知できるようになっている。

つまり、このゆがんだ橋は“出来損ない”として認識される。もちろん、設計者の魂が込められているようには感じられない。残念ながら。