はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

歩道橋写真集


年度が新しくなり、ようやく精神的なゆとりを取り戻しつつある。ここ数日、今年に入ってから積み重なっている、購入していたのにちゃんと読んでいなかった書籍たちを手にとって、じっくり眺めている。その中のひとつに、すてきな歩道橋の写真集「Footbridges: Structure, Design, History」がある。なぜちゃんと読んでいなかったかというと、単に洋書だから。ときどき写真だけは眺めてたんだけど。

橋の設計に関わっている人はもちろん、ひたすら橋が好きな人や構造デザインに興味がある人にも強く購入を勧めたい。なにしろ欧州の美しい歩道橋が、美しい写真と美しいレイアウトで大量に掲載されているので。ちょっとした図面も載っているし。解説文も短いので英語が苦手な自分でも何とかなるし。

「建設のあるべき姿」「軽量化の限界に向けて」「インテリアとなる橋」などの見出し(訳は適当)の中で、古いものから新しいものまで、90物件が紹介されている。もちろん、名だたる構造設計家たちの歩道橋がたくさん登場する。ざっと見渡してみても、R.マイヤール、R.モランディ、J.シュライヒ、M.ミムラム、S.カラトラバ、J.ストラスキー、・・・数えだしたらきりがない。そしてなにより、これまで知らなかった橋が載っているのがうれしいね。

ほぼ全ての写真が一人の写真家によるということも、この本の特徴だろう。圧倒的な情報量があるのに、写真のテイストが整っているので、全体を通じて破綻がないように感じる。それどころか、橋そのものと橋のある風景に対する深い愛情が伝わってくる。被写体への愛の有無は、結構重要な要素だね。

著者の一人はヨルグ・シュライヒの息子、ベルリン工科大のマイク・シュライヒ教授。実は、氏の弟子をやっている友人にこの写真集を紹介してもらった。その友人の姿をこの写真集の中に見つけたときは、とてもうれしかった。

ともかく、この本は歩道橋写真集の決定版だと思う。ぜひ、多くの方々に見てほしい。そして、構造の世界の面白さを感じ取っていただきたいと思う。


Footbridges: Construction, Design, History

Footbridges: Construction, Design, History