はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

豊かなディテール


最近の製鉄業界は高炉の休止や稼働率の縮小による大幅減産、年間配当の減少など、暗いニュースが続いている。主要な顧客である建築、自動車、電機などの業界が低迷しているためだ。ものづくりが大きな経済基盤を形成している日本において、製鉄業界の不振は大不況に直結している。
そんなこととは関係なく、昨日も解体されつつある蘇我の高炉をうきうきしながら鑑賞してきた。かつての栄華を偲んだり現代社会を憂いたりするのもいいけれど、見た目そのものを愛でるのもいいと思う。周囲の構築物が次々と撤去されているので、高炉本体や熱風炉がどんどん丸見えになってきている。でも距離は結構あるので、鑑賞にあたっては双眼鏡や望遠レンズを伴って行くことをお勧めしたい。そうすれば、見所のひとつであるディテールをじっくり眺められる。
個人的に好きなのは、高炉中央のパイプ群。高さが100mもある巨大構造物なのに、この繊細さは一体なんなんだ。まるで楽器のような美しさ。