はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

三面張


全く人を寄せ付けない高さの護岸、ほぼ正方形の断面プロポーション、素っ気ないコンクリートの表情、生物の棲息を拒む河床。まさに、お手本のようなコンクリート三面張りの河川。
山が多くて国土が狭い日本の河川は、大陸のものと比べて圧倒的に急な勾配になっている。しかも、日本はよく雨が降る。大雨が集中してしまうと、みるみる水が溢れて甚大な被害が発生してしまう。それをなんとかしようと、かつて、河道を直線的にしつつ全面をコンクリートで覆って抵抗を最小化し、溢れるよりも先に海まで流してしまおうとした。
つまりこの景観は、人間が自然をないがしろにしているように見えるけど、自然の脅威に対する人間の必死さが顕著に現れているわけだ。もちろん現在では、三面張りは多方面から否定され、別の思想で河川整備がなされているが。