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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

大雪にやられた話


欧州では先週末から記録的な大雪に見舞われており、各地で混乱が起きている。僕もアムステルダムで雪害にしっかり巻き込まれてきた。おそらく平日に仕事をほったらかして出かけた報いなんだろうが、これもいい経験ができたと前向きに捉えるようにする。以下、長文注意。お暇な方のみおつきあいください。
初日の水曜日は奇跡的に晴れ。アムステルダムに到着するなり、楽しみにしていた運河クルーズへ。ボートから眺める街並みを満喫した。夕方にはさくっと街を散策した後に、少し早めのディナー。おいしいインドネシア料理にありつくことができた。そして夜は、今回の旅の主目的であるコンセルトヘボウのコンサート。巨匠ハイティンクの指揮によるブラームスを堪能した。オランダに来てよかったと心から思ったよ。そしてこちらに来てから最もストレスのない素晴らしいお風呂にのんびり入った。夢のような素敵な一日だった。
2日目はオランダらしい奇抜な橋を調査する予定だったんだけど、珍しく雨らしい雨が降り続いてしまったので、やむなく普通の市内観光に変更。運河散策からはじまり、ショッピング、美術館めぐりをやってみた。ゴッホ美術館はすごくよかったよ。特に吹き抜けと階段がかっこよかった。市立近代美術館は改装工事中で、人が極端に少なかったのでテンポラリー作品をじっくり眺めたり、なにも展示されていないまっさらな空間を味わうことができたりと、予想以上に楽しかった。夜は牡蠣をおいしくいただき、なんだかんだと充実した時間となった。
ところが、3日目の金曜日にトラブルが待っていた。朝起きると一面銀世界で雪が積もっている。びっくりしたけどうれしくなって、チェックアウトの時間まで運河散策に出かけた。ここでおとなしく帰れば良かったのだけど、街外れにあるミッフィーショップに行こうと欲張ったのが間違いのはじまりだった。
ガイドブックに書かれた場所までトラムで移動し、住所を頼りに探し始めたのだが見つからない。雪が次第に強くなってきて、ついにこれは吹雪だというレベルにまでなった。緊急避難的にカフェに入り、店員さんにミッフィーショップのこと尋ねると、1年ほど前に別の場所へ移転してしまったとのこと。
がっくり落胆しつつも雪は止みそうにないので、最寄りのアムステルダム南駅までトラムで移動した。すると、なにやら不穏な空気が。ホームが人であふれている。おろおろと困惑していると、人の良さそうなおばあさんが声をかけてくださり、特急列車は大雪のため運休しているということがわかった。途中のユトレヒト駅まで行ける各駅列車が着きそうだったので、2時間近く待ったんだけど、どうも来そうにない。何人かのオランダ人にアイントホーフェンへの帰り方を尋ねたら、いろいろアドバイスをくださった。意を決して、日本のラッシュアワー並に込んでいた地下鉄に乗って、他の路線の乗り継ぎ駅アムステル駅へ。そこでも1時間ほど待って、結局電車が来ないので、また地下鉄でアムステルダム中央駅へ。中央駅の列車はほぼ全滅。もう寒くてすべてがいやになった。
ということで、まさかのアムステルダム3泊目を決意。朝までいたホテルに電話をし、たどたどしい英語で状況を説明すると、フレンドリーなおかみさんが名前を憶えていてくれたおかげでなんとか通じた。ノープロブレムと言われたときは、心底ホッとしたよ。
すると雪が徐々に穏やかになってきて、止まっていたトラムが動き始めた。そのトラムに乗って移動し、停留所からホテルまでとぼとぼと歩いた。ちょうど円を描くようにアムステルダムの街をぐるりと移動したことになる。おかみさんに労をねぎらってもらい、部屋に案内されて、窓から見た景色が上の写真。すごくきれいだったんだけど、ちゃんと撮影する気力はもう残っていなかった。ピントも合っていないが、そのときの複雑な気分は多少反映されていると思う。
翌日、のんびり朝食を済ませ、のんびりチェックアウトし、のんびり中央駅に向かうと、結構な本数が運休していたが、ちょうどよく特急列車に乗れて、やっと家にたどりついた。アイントホーフェンは快晴。雪もほとんど積もっていない。前日の吹雪が嘘のよう。
この旅ではいろんなことを学ぶことができた。雪の運河は美しい。雨の運河も美しい。オランダでは割と簡単に列車が止まる。オランダ人は基本的に寛容である。薬は予備の分も携行しなければだめ。などなど。