はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

映画の中の橋


橋はよく映画に登場する。単に絵になるということの他にも、此方と彼方を結ぶとか困難を克服するとか道を外れることができないとかの象徴的な意味合いが含まれていたり、効果的な舞台装置として登場することもある。
六角断面の橋脚とプレキャストパネルのウェブが印象的なこのPC高架橋は、「TAXi」という1998年に公開されたフランスのカーアクション映画の中に登場したもの。マルセイユが舞台となっているこの映画は、スピード狂のタクシー運転手がドジな刑事とともに強盗事件を解決するという、非常にばかばかしくて楽しい映画だ。最後の方の重要なシーンに、建設中のこの高架橋が使われていて、桁の断面などがばっちり拝める。
先日フランス南部に行く準備をしているときにふと思い出して、ついでだから見に行ってみようと、ネット上でいろいろ調べてみた。しかしなかなかヒットしない。あきらめかけていたそのとき、グーグルマップの航空写真で高速道路を跨ぐTGVの鉄道高架橋の影を見つけた。ん?これはもしや?と思ってストリートビューで見てみると、おお!まさにこれだ!となったわけだ。
映画のシーンとすっきりと洗練された外観から、ずっと道路橋だと思っていたよ。どおりで見つからなかったわけだ。そういう目で見直してみると、たしかに道路橋としては橋脚は太く支間は短く桁高は高いね。勝手な思い込みはいけませんな。