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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

コークスと生肉とバレエ


先日有楽町に行ったとき、以前から観たかったドキュメンタリー映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」をレイトショーで観てきた(公式サイト←音出ます)。1年ほど前に、ベルリンに住む友人から教えてもらったトレーラーをYouTubeで観て、しびれたので。日本でも2月から公開されていたのだが、ついズルズルと今になってしまった。
日本版トレーラーには「五感を揺さぶり、肉体を刺激し、心を裸にする」「迫りくる衝撃と至福」「悲しみも歓びも、すべて解き放て」という大げさとも思えるコピーが用いられているが、本編を見ると本当にそのとおりであることが確認できる。これまで現代舞踊など観たことのない僕なので、何を表現したい踊りなのかほとんどわからなかったのだけど、感情はウンザリするほどぐわんぐわんに揺さぶられたのだ。
始めから終わりまで極度の緊張を強いられていたために、見終わった後はぐったり放心状態になってしまった。そして千葉の自宅まで帰る気持ちが完全になくなってしまい、その晩は新橋のホテルに宿泊した。結果的に高くつく映画である。まったくもう。
それはともかく、屋外のロケ地が最高にいい。露天掘り鉱山とかモノレールとか地下坑道とかアーチ橋の下とか。世界遺産にも指定されているツォルフェアアイン炭鉱で撮影されたシーンも何カ所か挿入されているよ。
その中のひとつに、上の写真のコークス炉のプールでワンピースの女性が踊るシーンがある。彼女は唐突に「これが、仔牛の生肉!!」と叫び、その生肉をトウシューズの先に詰めて踊り始める。もちろん僕には意味不明なんだけど、その理不尽なまでの美しさにのけぞったよ。トレーラーの一番最後にちらっと出てくるので、ぜひご覧ください。